長期・積立・分散投資を支援するための制度としてスタートした「つみたてNISA」。そのラインナップを見ると約9割をインデックス投信が占めています。投資初心者向けのアドバイスとしても、多くの専門家がおススメ商品として挙げるインデックス投信です。

そんなインデックス投信が目安にするのが株価指数ですが、投資デビューを考えている人の中には、そもそも「株価指数って何?」という人も多いはず。投資信託を選ぼうと考える前に、まずは株価指数についてきちんと理解しておきましょう。

株式市場の動きを総合的に表しているのが株価指数

株価指数とは株式市場の値動きを総合的に捉えるために、取引所全体や特定の銘柄群の株価を一定の計算方法によって指数化し、継続的に算出・公表されているもの。

複数国をまとめたもの、取引所単位など大きなグループの株価の動きを見る指数だけでなく、銀行株だけ、鉄鋼株だけ、といった業種別の指数など、世界中の多くの機関がさまざまな株価指数を算出・公表しています。

ニュースなどで株価の動きを報道する際にもよく使われる「日経平均(日経225)」「ダウ平均(ダウ・ジョーンズ工業株価平均)」は、株価指数のひとつです。

つみたてNISAの日本株投信が対象とする株価指数は3つ

つみたてNISAにラインナップされている商品を例に、まずは日本株の株価指数についてみていきましょう。

「つみたてNISA」は厳選された商品だけと聞いたのに、結構たくさんあって選べないという声を聞きます。確かにリストを見ると日本株の単一指数に連動する投信だけで32本あります。でも、ちょっと待って! 「対象指数」という欄を見ると3つしかありません。インデックス投信は株価指数に連動しますから、32本あっても値動きは3つのタイプに集約されるということになります。

では、その3つを具体的に見てみましょう。まず、「TOPIX」とは「東証株価指数」のことで、東京証券取引所の第1部(東証1部)に上場している全銘柄の時価総額の合計を指数化した株価指数です。

次に、「日経平均株価」は東証1部に上場している銘柄から代表的な225銘柄を選び、その平均株価を指数化したもの。

最後に、「JPX日経インデックス400」は、東証1部、2部、マザース、JASDAQに上場する全銘柄から資本の効率的活用、3年平均ROE(株主資本利益率)など、グローバルな投資基準に求められる要件を満たす400社で構成される指数です。

  • つみたてNISAの日本株投信が対象とする株価指数は3つ

このように同じ日本株の株価指数でも、指数を算出する方法が違うため動きは異なります。しかし逆に、同じ株価指数に連動する投信ならばどれでも値動きはほとんど同じということになります。ですから投信を選ぶ際は、商品を選ぶ前にどの株価指数に連動するものにするかを決めれば自動的に決まってくるといえます。

海外型はどんな国が組み入れられているかを確認

次は海外株式の単一指数に連動する、つみたてNISAの商品についてみてみましょう。一見、難しそうに見えますが、これも名称の構造がわかってしまえば簡単です。

最初の「MSCI」「FTSE」「S&P」というのが指数を算出している企業などの略称、その後に続くのが投資対象というのが一般的です。たとえば「MSCI ACWI」を例に説明すると、下のようになります

  • 名称の構造

投資対象は「Global All Cap」なら全世界、「Developed All Cap」は先進国、「Emerging Markets」は新興国で、詳細な投資対象国は目論見書などを見なくては確認できませんが、名称からおおよそのことは判断できます。同じ株価指数に連動する商品であれば、値動きはほとんど変わらないのは日本株と同様です。

複数資産に投資する商品であってもこれらを組み合わせているので、内容を見ればどの国のどんな資産に投資しているかはわかります。インデックス投信を長期で積み立てれば安定した運用ができると安心せず、自分が買った(買おうとする)商品がどのように運用されているかをしっかり理解しておきましょう。

  • 鈴木弥生

鈴木弥生

編集プロダクションを経て、フリーランスの編集&ライターとして独立。女性誌の情報ページや百貨店情報誌の企画・構成・取材を中心に活動。マネー誌の編集に関わったことをきっかけに、現在はお金に関する雑誌、書籍、MOOKの編集・ライター業務に携わる。ファイナンシャルプランナー(AFP)。