――第7話といえば、カグラがターザンジャンプ(綱渡り)をした際、着地に失敗して地面にめり込んでしまうなど、ギャグ的な要素があって楽しかったですね。

そうそう。カグラのシルエットに合わせてスタッフさんが地面に穴を掘ってくださっていたんです。他にも第9話では、撮影の前日に重機を使ってキングダイナスの実物大の足跡を掘っていたりするんですよ。僕もその大きな足跡の中に入らせてもらったんですけれど、そのとき「怪獣が本当に存在したら、こんなに大きな足跡ができるかもしれないな」って、ナマで実感しましたよ。CG合成とは違うリアルな感覚があって、とても嬉しかったです。こういった部分、今度のBlu-rayでより鮮明になった映像を見て確かめたいですね。

変身シーンの思い出

――ウルトラマンシリーズならではの演技といえば、やはり専用アイテムを持っての変身シーンは外せないと思います。変身の思い出などがあれば教えてください。

変身は僕にとっても大事なシーンだと思って演じていました。変身シーンがあるからこそ、カグラとネオスがひとつになれるわけですからね。自分の気持ちも大事ですけれど、変身を撮ってくださる監督の思いも大切にしようと努めました。

ただ立ったまま「ネオス!」と叫んで変身する以外に、走りながらの変身というのもやりました。崖の端のほうで立ち止まり、変身するってカットなんですけれど、監督から「ここで止まるぞ、という前提で走ってはダメだ。全力で走ってこい!」と言われたのですが、地面が砂利だらけで走りにくくて、さらに全力で走ると決まった位置で止まれなくて、4・5回くらい撮り直しがありました。「必死に走ってきて、ピタッと止まって変身するからカッコいいんだ。できるまでやるから!」なんて言われてね。その監督のこだわりは映像の中に必ず残っているな、と出来上がったフィルム作品を見て心底思いましたよ。

――全12話の中で、お気に入りのエピソードはどれですか。

ザム星人が出てくるエピソードが気に入っています。第2話「謎のダークマター」、第6話「ザム星人の逆襲」、そして最終の前後編である第11話「宇宙からの暗殺獣」、第12話「光の戦士よ永遠(とわ)に」あたりですね。ザム星人は故郷を失った悲しい種族で、もしかしたら地球人もザム星人のような運命をたどるかもしれない……と考えさせられる話なんです。

また、第11話で政府機関の人たちにHEARTの動きが封じられる中、ミナト隊長がマイクのスイッチをオンにしたまま、外にいるカグラたちへ間接的に命令を伝えるシーン。あれがとても印象に残っていますね。僕たちがこれまで作り上げてきたHEARTの団結力を如実に示している、いいシーンだと今でも思っています。

――当時の子どもたちは、主にレンタルビデオショップでウルトラマンネオス、およびウルトラセブン21の勇姿を楽しんだと思います。高槻さんご自身はレンタルショップで『ネオス』のソフトが置かれている現場をご覧になったことがありますか?

もちろんです! やっぱり自分の出た作品が陳列されていると嬉しいですから、近くのショップへ見に行きました。最初はちょっと恥ずかしくて、「ああ、並んでるな、なるほどな」みたいな感じで横目に見ていたのですが、何度目かになると、自分でパッケージを手に取ってみたりして(笑)。

ウルトラヒーローを演じて

――2017年12月9日に、Blu-ray化記念の『ネオス』上映会(第4話と第9話を上映)が開催された際、高槻さんがスペシャルトークゲストとして出演され、集まった特撮ファンを沸かせたそうですね。ビデオリリースから10数年を経て、今なお大勢のファンがいることについて、どんな思いを抱かれましたか。

たくさんのファンの方が来てくれたのは、素直に嬉しかったですね。まさかこんなに大勢の人が『ネオス』のために集まってくれるとは思っていなかったので、驚きました。僕はどちらかというと『ネオス』の後に出演した『仮面ライダー龍騎』(2002年)の仮面ライダータイガ/東條悟役のほうで知られていると思っていたのですが、そこはやっぱりウルトラマンの知名度の高さでしょうね。僕自身、イベントで10数年ぶりにウルトラマンネオスと再会することができて、興奮しました(笑)。

――ところで、高槻さんがお気に入りのウルトラヒーローは誰ですか? もちろん、ウルトラマンネオスは別格として……。

『ウルトラマンレオ』(1974年)ですね。光線技をめったに使わず、空手アクションで戦うウルトラマンというところが好きです。僕も武術、武道をやっていて、いまは子どもたちに中国の伝統武術を教えています。そんなこともあって、肉体を武器として戦うレオにすごく愛着を持っています。

――もしもふたたびウルトラマンシリーズへの出演オファーがあったとしたら、どんな役柄で出てみたいですか?

そんな依頼があったら喜んで、どんな役でも出たいですね。年齢的に、特捜チームの隊長とか?(笑) 特に何か説明があるわけでもなく、突然いまのカグラが出てきて、若いウルトラマンにアドバイスをする、みたいなのでも面白いですよね。

――最後になりますが、Blu-rayで甦る『ウルトラマンネオス』の発売を楽しみにしている方をはじめ、ウルトラマンシリーズを愛するファンのみなさんにメッセージをお願いします。

『ネオス』を過去にご覧になったことのある方も、そうでない方も、Blu-rayをご覧になって楽しんでいただきたいですね。ネオスとセブン21は初代『ウルトラマン』と同じくM78星雲から来たウルトラヒーローです。物語も毎回の怪獣が引き起こす事件が中心となった、初代を思わせる「王道」のウルトラマンだと思います。それに加えて、カグラのフレッシュさや、HEARTの家族的なチームワークの良さ、ミニチュア特撮の迫力など、たくさんの見どころがありますので、きれいになった映像を新たな気分で見直してほしいです。

■著者プロフィール
秋田英夫
主に特撮ヒーロー作品や怪獣映画を扱う雑誌などで執筆。これまで『宇宙刑事大全』『宇宙刑事年代記』『メタルヒーロー最強戦士列伝』『ウルトラマン画報』『大人のウルトラマンシリーズ大図鑑』『ゴジラの常識』『仮面ライダー昭和最強伝説』『日本特撮技術大全』『東映スーパー戦隊大全』『ゴーグルV・ダイナマン・バイオマン大全』『鈴村健一・神谷浩史の仮面ラジレンジャー大百科』をはじめとする書籍・ムック・雑誌などに、関係者インタビューおよび作品研究記事を多数掲載。

(C)円谷プロ