WOWOWで3月5日に授賞式の模様が生中継される第90回アカデミー賞。13部門でノミネートされたギレルモ・デル・トロ監督の『シェイプ・オブ・ウォーター』や、クリストファー・ノーラン監督の『ダンケルク』、前哨戦とも言われる1月のゴールデングローブ賞で作品賞など4部門で受賞した『スリー・ビルボード』など、注目作が目白押しの中、今年もジョン・カビラとともにMCを務めるフリーアナウンサー・高島彩に話を聞いた。

高島彩

高島彩

――今回のノミネート作で高島さんが注目している作品を教えて下さい。

まず作品賞でノミネートされている『君の名前で僕を呼んで』は、さわやかなんだけどなまめかしさもあって、同性愛という着眼点よりも素直で純粋な愛の物語という印象を受けて、個人的にもすごく好きな作品です。特に主演のティモシー・シャラメの、すい込まれそうな憂いをたたえた瞳がなんとも魅力的ですね。

『ゲット・アウト』も気になります。どちらかというとホラーよりサスペンス寄りで、精神的にじわじわ追い詰められていく感じとか、キャラクターの絶妙な不気味さとか、こういう切り口もあるのかとハッとさせられました。同時にアメリカ社会の問題にも触れられる作品だと思います。

ほかにも、グレタ・ガーウィグ監督の『レディ・バード』などを見ると、女性の活躍は今後も広がっていきそうですし、『シェイプ・オブ・ウォーター』『スリー・ビルボード』からも、テーマ選びやストーリーに多様性を感じますね。

――高島さんは第84回から番組MCを務め、昨年に続いて今年で6回目となります(※産休のため第86回は休み)。毎回本番はどのような気持ちで臨まれていますか?

番組が始まってしまったらもうやるしかないので、俳優や作品について思いを馳せる時間は意外とあるんですよ。ただ、2012年からMCをやらせていただいてますが、その年の傾向とか受賞作、受賞俳優を予想しながら見ていてもまったく当たったことがなく、最近ふと「私、予想するの向いてないかも……」と気づきました(笑)。

もし予想した作品が受賞したら、それはそれでうれしいのですが、はたして予想が当たった喜びなのか、自分がその作品を本当に好きなのかどうか複雑な気持ちになるので、今年からはもう一切予想はせず、自分の好きな作品や俳優だけを応援して「受賞したら嬉しいな」という純粋な気持ちで楽しもうと思っています。

――ちなみに、好きな部門はありますか。

それぞれ好きなんですが、やはり主演女優賞は受賞した女優がスピーチの時に何を言うのかとても気になりますね。時に今回は、昨年から続く「#ME TOO」問題などもありますし、注目度は高いと思います。これは決して予想ではありませんが(笑)、『君の名前で僕を呼んで』のティモシー・シャラメには主演男優賞を獲って欲しいですね。毎回見ていて思うのですが、コールされた受賞者を見て悔しがる人もいれば、悔しさを隠して讃える人もいたりして、スターたちの素の表情が垣間見えるのが非常に興味深いです。

――今年で90回を数え、歴史のあるアカデミー賞ですが、高島さんが好きな受賞作は何ですか?

これはいろいろなところでも挙げてますが、メリル・ストリープ主演の『ソフィーの選択』(※1983年、第55回アカデミー賞で主演女優賞を受賞)です。とても好きな作品で、初めて見た時にすごく衝撃的だったのを今でも覚えています。作品の中で描かれている時代背景もあったと思いますが、その中でソフィーが選択してしまう結末の残酷さ、そこに至る苦しさが胸に突き刺さりましたね。

今、私には1歳と3歳の娘がいるんですけど、母親になって改めてこの作品の悲しさを感じますし、娘たちが大きくなった時、ぜひこの作品を一緒に見て感想を聞いてみたいです。彼女たちがどう思ったのか語り合えたら嬉しいなと思っています。

『生中継! 第90回アカデミー賞授賞式』(同時通訳版)は3月5日(月曜 8:30~)WOWOWプライムにて放送(字幕版は同日21:00~)。