2018年に声優デビュー10周年を迎えた渕上舞。そんな節目となる本年に、彼女はアルバム『Fly High Myway!』をひっさげてソロデビューすることとなった。

渕上舞(ふちがみまい)。5月28日生まれ。福岡県出身。m&i所属。主な出演は『刀使ノ巫女』皐月夜見役、『アイドルマスター シンデレラガールズ』北条加蓮役、『蒼き鋼のアルペジオ -アルス・ノヴァ-』イオナ役、『ガールズ&パンツァー』西住みほ役など
撮影:Wataru Nishida(WATAROCK)

今回、マイナビニュースではアーティストデビューしたばかりの彼女にインタビューを実施。アルバムのこと、またデビューするに至った経緯やアーティスト活動をしていくにあたっての率直な気持ちについて伺った。

▼やっぱり歌が好き

――ソロデビューアルバムの発売おめでとうございます。声優としてデビューしてから10周年となる年にソロアーティスト活動もスタートとなりましたが、前々から目標のひとつだったのでしょうか。

元々声優という職業を志したきっかけが、歌でも非常に活躍されている水樹奈々さんに憧れたからなんです。加えて、歌が好きということもあったので、声優事務所に所属した当初は目標に掲げていたことではありました。ただ、お仕事をしていく中で、声優とアーティスト、どちらも片手間でできるものではない、二足の草鞋を履くことはそれだけ大変だという気持ちが強くなっていったんです。私、できないことはやりたくない、分からないことはやりたくないタイプなんですよね。

――それだけ責任感の強い方なのだと思います。

そう言っていただけるのは嬉しいです。これまでも色々な作品で様々なステージに立ってきました。そのたびに楽しさ、やりがいを感じて、個人でもやりたいなという憧れが段々と高まってはいたんです。でも、「これを一人でやるにはどうするの」「きついじゃん」というマイナスの気持ちも同等くらいあって……。正直きついことを自ら進んでやるタイプでもないので、なかなかデビューに踏み切ることができませんでした。

――そんな気持ちがあったなか、今回ソロデビューに踏み切ったのにはどのような理由が?

ずっと自分名義での活動をやってこなかった10年というなかで、何か自分の名前で形に残せるものがあればいいなと思うようになったんですよね。自分名義の活動として写真集も出させていただきましたが、やっぱり歌を歌うことが好きなので、ソロデビューしたい願いがより強くなっていったんです。そんなお話を雑談でさせていただいていた中で、今回のデビューの話をいただきました。

――だから、この10周年というタイミングだったんですね。

そうですね。今さら感も自分のなかではありますが、やらないで後悔するよりかはやって後悔したほうがいいかなと思ったんです。

――実際にアーティスト活動をすると決めてからは誰かに相談などされましたか?

発表タイミングの兼ね合いもあり、実はそれほど相談していないんですよね。ただ、沼倉愛美ちゃんや新田恵海ちゃんとは少しお話しましたね。「ねぇ、やっぱり大変?」ということを聞きました(笑)。

――先にアーティストとしてデビューしているお二人ですもんね。

そうなんです! アーティストの先輩でもあるので、ちょっとだけお話を聞いてみました。恐らく本格的に相談したり、色々なことを話したりするのはこれからだと思います。アルバムを作っていく中で楽しさも大変さも経験しました。そういう話のネタを持ってみんなとお話したいですね。

▼作詞はわがままから始まった

――デビューに至るまでのお話をしていただき、ありがとうございました! そんな、節目となる年に決意をして踏み切ったソロデビューだけに、今回のデビューアルバムへの想いも一入かと思います。

決意したからには「やりたいことをやれないと意味がない」という想いが自分の中にありました。なので、やりたいこと、好きなものを詰め込んだアルバムになればと思いながら、製作もスタートさせましたね。

――こだわりを持って臨んだアルバム製作。12曲中6曲がご自身で作詞された曲と、デビューにしてはなかなか挑戦的だなと感じました。

そうですよね(笑)。ただこれは最初から決まっていた訳ではなくて、やりながら6曲作詞すると決めていったんです。

――どのような経緯で、作詞することが決まっていったのでしょうか?

下手くそなりにも自分の、自分らしい言葉で綴ったほうが気持ちを届けられるのではと考えたからです。実は表題曲の『Fly High Myway!』は今回のアルバムにとても携わっていただいている結城アイラさんに元々作詞していただいていたんです。そちらもすごく素敵な歌詞ではありましたし、折角書いていただいたのに、わがままを言うのはいかがなものか……と悩みましたが、やっぱり「後悔しないためには」と考えたときに、製作チームの皆さんに話を出さないといけないなと思ったんです。

――それは、かなり勇気が必要なことだったのでは?

勇気も必要でしたし、申し訳ない気持ちもありましたね。しかも、話を切り出すのがアルバム製作における最初の打ち合わせの場でもあったので、一発目から印象最悪じゃん、面倒くさい奴と思われたらどうしようという気持ちもありました。それゆえ、話を切り出すのも躊躇しましたが、今後活動が先まで決まっているわけではない、もしかしたら次はないかもしれないから、ちょっとくらい嫌な奴と思われてもいいのでやりたいことをやったほうがいいと思ったんです。

――なるほど。

そんな私としては意を決して切り出した話も、製作チームの皆さんは「何だそんなことか」という感じですぐ受け入れてくださいました。しかも、時間を割いて歌詞を書いてくださったアイラさんは「舞ちゃんが書けるなら絶対にそのほうがいい!」と背中を押してくださったんです。笑顔で「全然時間とか気にしなくていいよ」と言ってくださったのが、本当に救いでした。そこから、他の曲も書かせていただくという流れになったんです。

――素晴らしい製作チームです。

最初の打ち合わせからいきないわがままが勃発してしまい困らせちゃったのは間違いないと思います。でもそういう話を受け入れてくれる心の広い製作チームに恵まれたのはとても幸せなことだと思いました。

――今回、素晴らしいチームの後押しもあり実際に6曲を作詞されることとなりました。個人名義での作詞、詞はどういうときに浮かんできましたか?

もう、歌詞を書こうと思って向き合うだけです。

――こういうインタビューをしていると、ふとした瞬間にワードが思い浮かんできた、天から降りてきたという話も聞くことがありますが……。

感性が鋭い方はそういうこともありえるんでしょうけど、そういうの、私にはないです(笑)。今は言葉が降りてくるというより言葉を求めてスマホやノートパソコンを広げる、という感じですね。お家だったり、カフェでコーヒーを飲みながらだったり、お風呂の中だったり、公園でシートを敷いたり……考えるシチュエーションは様々でした。

――そういう様々なシチュエーションで作詞してみていかがでしたか?

苦戦しましたね。比較的1番の歌詞は早めに仕上がるんですよ。ただ、歌は全部を使ってひとつのメッセージなり、物語なりを作らないといけない。それを組み立てるのが大変でした。

――それだけに、メッセージ性の強い楽曲がたくさん出来上がっているように感じました。

ありがとうございます! そう言っていただけると嬉しいですね。