フジテレビの現役社員・初瀬礼氏の最新小説『呪術』(新潮社刊、1,800円+税)が、あす22日に発売される。モロッコと東京を股にかけたサスペンスで、アフリカで現在も横行している「アルビノ狩り」を題材にしている点もポイントだ。

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『呪術』書影

『呪術』は、30代のツアーコンダクター・麻衣が、仕事として訪れたモロッコでテロに巻き込まれ、ピンチをくぐり抜け後、アルビノの少女・ケイコを偶然救うことに。日本に連れて渡るが、そこからもさまざま事件に巻き込まれる。

アルビノは、先天性白皮症とも呼ばれる「先天的にメラニン色素が欠乏した人」(デジタル大辞泉)。書影のとおり色素が減少し、髪の毛や皮膚が白くなっているのが特徴だ。

アフリカで今も受け継がれる「呪術」では、アルビノの人肉を食べると幸福になれると信じられ、現在も実際に「アルビノ狩り」が発生。作品の中では、"最高の材料"であるケイコが、呪術師に追われてしまう。

時代設定は、外国系マフィアが跋扈(ばっこ)する近未来の東京。不穏な動きを察知した警視庁公安部の"落伍者"・園部とともに、「敵」を迎え撃つ計画を練るが――。こうして、さまざまな出来事が冒険小説風に描かれている。

初瀬氏は執筆にあたり、実際にアルビノの人や新宿・歌舞伎町などを取材。フジテレビでは入社以来20年以上にわたり報道畑で、社会部記者やモスクワ特派員、ディレクターを務め、今作には警視庁担当記者時代の経験も生かされているという。

2013年にサスペンス小説『血讐』(リンダパブリッシャーズ刊)でデビューし、同作で第1回日本エンタメ小説大賞・優秀賞を受賞。16年に発表したパンデミックをテーマとした『シスト』(新潮社刊)に次ぎ、今作『呪術』が3作目となる。