手間を惜しまず高めた走行性能

今回、同じ条件下でアウトランダーやRVRと乗り比べることもできたのだが、違いは歴然。とくにアウトランダーは、2017年のはじめにマイナーチェンジして、もともと評価の高かった走行性能により磨きがかけられたのだが、そのアウトランダーよりも、より俊敏で正確性のあるハンドリングと、高い接地性を実現している。ステアリングを深く切り込んでいったときもより忠実に曲がる。

  • 「RVR」と「アウトランダー」

    「RVR」(左)および「アウトランダー」(右)との乗り比べもできた

これには土台のよさも効いているに違いない。プラットフォームやサスペンションアーム類、大半のメンバーは基本的にアウトランダーやRVRと共通だが、さらなるボディ剛性向上のため、アウトランダーでも用いた構造用接着剤をできるだけ多く採用し、とくにリアまわりに重点的に施した。フロントには3点留めのストラットタワーバーを装着したほか、各部に諸々の手当てをしている。

むろん生産の手間は増えるが、より上の乗り味を目指し、軽快感を出すため、このクルマには必要と判断したと開発関係者は述べている。

  • エクリプスクロスのリア

    上質な乗り味を実現すべく三菱自動車は手間をかけている

ステアリングのギア比調整で疲れないクルマに

また、パワーステアリングの平均のギア比を、アウトランダーは16.65:1のところ、エクリプス クロスでは14.70:1と約1割もクイックにしていることも、俊敏で軽快な走り味に寄与しているのはいうまでもない。

走りのよさは一般的なユーザーがごく普通に走る上でも恩恵がある。正確にクルマが反応してくれると修正舵が必要となる状況も減るため、ドライバーの疲労感も小さくなるし、ステアリングを切り返したときに車体の揺り戻しが小さいので、後席乗員にとっても不快な思いをせずに済む。まさしくいいことずくめだ。

  • エクリプスクロスのインパネ

    ステアリングへの反応が正確だとドライバーの疲労感も小さくなる

限られた中での試乗ではあったが、クルマのよさは十分に伝わってきた。この内容で車両価格が約260万円~310万円というのはコストパフォーマンスもかなり高いように思う。なかなか魅力的な、快心のニューモデルである。