「鉄道ファン」「鉄ちゃん」などと呼ばれる人は多くいるが、誰もがおそらく鉄道にハマる"きっかけ"があったはず。そこで今回は、本誌の鉄道記事などで活躍中のライター4名(杉山淳一さん、井上孝司さん、小林拓矢さん、新田浩之さん)に、鉄道を好きになる"きっかけ"となった出来事を教えてもらった。

  • 鉄道ライターとして活躍する人たちは何がきっかけで鉄道を好きになった? (写真はイメージ)

「祖母や父との鉄道旅行がきっかけ」(新田浩之さん)

新田浩之さんは阪急神戸線とJR東海道本線に挟まれた地域で育ったため、「幼少のときから鉄道は身近な存在」で、物心ついたときから鉄道が好きだったそう。本格的に鉄道にのめり込むきっかけは家族との鉄道旅行で、とくに印象に残っている路線は西鉄北九州線。「放送テープを使わずにひたすら運転士が話すスタイルは私にとって強烈なインパクトがありました」と振り返る。中東欧とロシアの鉄道にも興味を示す新田さんだが、この地域の鉄道に興味を持ったのは高校生のとき。「ヨーロッパ時刻表」を読んでいるときに、ポーランドのクラクフ発プラハ・ウィーン・ブダペスト行の"3階建て"夜行列車を見つけたことがきっかけとなったそうだ。

「自宅のそばを走る身延線の電車を母と見に」(小林拓矢さん)

小林拓矢さんは山梨県甲府市生まれ。自宅のそばを走っていた身延線の電車を母親と一緒によく見に行っていたそうだ。当時の身延線について、「115系のワインレッドの車両が普通列車として使用されており、中央線のスカ色や、一般的な湘南色とも違う、独自の色が気になっていました」と振り返っている。幼稚園のころから図書館に通い、鉄道関連の本をよく借りるように。そこで全国の鉄道のことを知り、興味深く感じたことが現在につながっているとのことだった。

「関連書籍を読みあさり"全線完乗"を志すように」(井上孝司さん)

井上孝司さんは「もともと父が鉄道好きで、家に関連する書籍・雑誌がたくさんあったのが、直接的なきっかけ」だという。それを小学生の頃から読みあさり、さらには自身でもいろいろな書籍・雑誌を買うようになり、機会を見つけては現場・現物を見て回るようになったそうだ。その後、「全線完乗」を志し、2011年11月に見事、JR全線・民鉄全線を制覇。「その過程でさまざまな路線を訪れて、さまざまな車両に乗り、さまざまな経験をしたことが、また知見を広げる役に立っている」とコメントしている。

「池上線の3450形をお父さんだと思っていました」(杉山淳一さん)

杉山淳一さんの場合、「赤ん坊の頃から、ぐずるたびに踏切に連れて行くと泣き止んだ」というほど鉄道が好きだったそう。父親が仕事の関係で家にいることが少なく、「池上線の3450形をお父さんだと思っていました。小ガモか」ともコメントしている。「乗り鉄」になったきっかけは小学校1年生のとき、東急池上線の洗足池駅から電車とバスを乗り継ぎ、祖父の家へ行ったこと。「それで自信がついちゃって、切符売り場に掲げられた東急の路線図を見て、全部乗ってみたいと思いました。東急が終わったら国電フリーきっぷ区間、その後、全国全路線を目指しました」と振り返った。


今回、「鉄道を好きになるきっかけ」を紹介したライター4名とも、幼い頃から鉄道に親しみ、わくわくするような体験をしていた様子だった。子供の頃に体験した楽しい思い出や感動はいくつになっても色褪せないもの。昔もいまも、鉄道には子供たちから大人まで幅広い層をときめかせる魅力があるのかもしれない。

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