茨城県といえば関東地方の北東、太平洋岸にある県だ。鉄道ではJR常磐線が主要幹線で、特急「ひたち」「ときわ」が頻繁に走っている。残念ながら新幹線はない……と思いきや、じつは茨城県にも新幹線が通っている。地図で確認してみよう。

  • 茨城県内を新幹線が通過している(国土地理院地図を加工)

なんと、埼玉県・栃木県と接するあたり、茨城県古河市付近を東北新幹線が通過していた。国土地理院地図の計測機能で測ると、距離は約10.5kmだ。ただし、線路はあるけれども駅はない。この場所は東北新幹線大宮~小山間にあり、小山駅から南へ約12~22kmとなる。この近さでは新幹線の駅を設置しにくかったようだ。

ちなみに栃木県小山市の人口は16万7,591人(2017年12月1日現在)、茨城県古河市は14万4,468人(同)。小山市のほうが少し規模は大きく、両毛線、水戸線と乗換え可能だ。どちらかに駅をつくるとすれば、小山市のほうが便利といえる。また、東北新幹線が計画された当時、茨城県のルートで古河市中心部に近い場所は、古河市ではなく総和町だったことも影響したかもしれない。旧古河市と総和町、三和町が合併した新しい古河市は2005年に誕生している。

この通り、茨城県内に新幹線が通っていた。ただし駅はない。

ところで、茨城県内を通過する新幹線は、茨城県の人々には知られている話だろうか。筆者の友人であり、茨城県出身のフリーライターで『忍者増田のレトロゲーム忍法帖』の著者、忍者増田さんに聞いてみた。

「ますださん、ますださん」
「はいはいー」
「茨城県に新幹線が通っているってご存じでしたか」
「どこですか。もしかして古河市あたりかな……」
「さすが。そうです」
「し、知らなかったー。千葉って新幹線は通ってますか」
「千葉は関東で唯一、新幹線が通っていない県です」
「なんか、初めて千葉に勝てた気がします。いや勝ててないですけど。相手にされてない気もしますけど。でもこの話、忍者の分野でいう『伊賀と甲賀』と同じくらいの、なかなかのトリビアではないかと思います」
「えーと、伊賀と甲賀ってなんですか」
「伊賀はイガ(iga)って読みますよね。甲賀はコウガ(kouga)って言う人が多いんですけど、じつはコウカ(kouka)、濁らないんですよ。駅名(JR草津線)も『koka』って書いてあります。これ鉄道トリビアですよ」

なんと「忍者トリビア」と「鉄道トリビア」をひとつずつ教わってしまった。忍者増田さんはライターとして幅広い分野で活躍するほか、最近は忍者系イベントの活躍も増えているそうだ。忍者増田さん、ありがとう!