東京メトロは17日、地下鉄開通90周年記念スペシャルイベント「銀座線タイムスリップ ~地下鉄開通当時にタイムスリップしよう~」を実施した。1000系特別仕様車がイベント専用列車として銀座線を走行し、地下鉄開通当時を再現する演出も行われた。

  • 上野検車区で出発を待つ銀座線1000系特別仕様車(写真左)。イベント参加者らは前面扉から乗車した

今回のイベントは90年前の地下鉄開通当時を題材とし、タイムスリップした気分を体感できる「東洋初の地下鉄」復刻イベントとして開催された。事前応募制で応募人数は45組90名とされたが、応募総数は4,090件に及んだという。

当日は上野検車区に集合してイベントがスタート。参加者らは銀座線1000系特別仕様車(第39編成)の車体前面の扉から乗車した。1000系特別仕様車によるイベント専用列車は11時10分頃に上野検車区を出発し、地下鉄唯一という踏切を通過して地下へ。上野駅の浅草方面ホームへ入線し、進行方向を変え、90年前に開通した区間である上野~浅草間を走行した。浅草駅到着後は折返し線へ進み、運転士・車掌が交代。再び進行方向を変え、渋谷方面へ向かうことになった。

  • 1000系特別仕様車の車内。地下鉄開通当時の車両、旧1000形をイメージさせる色合いで再現している

  • 1000系特別仕様車の特徴でもある室内予備灯。今回のイベントでは「ポイント通過時等の室内灯消灯、同時に側面予備灯の点灯」が再現された

  • 参加者らでにぎわう車内。イベント専用列車は浅草駅に到着後、折返し線で進行方向を変えて渋谷方面へ

車内照明はイベント用の電球色に変わり、浅草駅から渋谷駅までの間、1000系特別仕様車の特徴でもある室内予備灯を用いた「ポイント通過時等の室内灯消灯、同時に側面予備灯の点灯」を再現する演出が行われた。車内では復刻制服(地下鉄開通当時の制服をモチーフにデザイン)を着用した運転士・車掌との記念撮影も実施。車内アナウンスにて地下鉄開通当時や銀座線の歴史、駅にまつわるトリビアなどが紹介された。

12月18日までの期間限定でライトアップを実施している旧萬世橋駅(末広町~神田間)・旧神宮前駅(表参道駅ホーム西側)付近で徐行運転も行いつつ、イベント専用列車は12時17分頃、渋谷駅に到着。一般の利用者を乗せて走ることのない渋谷駅奥の引込み線へ進み、発車までの間、車内では東京メトロ各駅の発車ベルを聞き分ける「発車ベルクイズ」が行われた。渋谷駅で折り返した後は車内照明も通常モードとなり、車内に新設されたドア横モニターも稼動。イベント専用列車は13時頃、リニューアル間もない上野駅に到着した。

  • 渋谷駅到着後は引込み線へ。この日は運転士も復刻制服を着用

  • 復刻制服を着用した運転士・車掌との撮影も行われた。車内では和装のアテンダントも活躍

  • 1000系特別仕様車ではドア上の3画面モニターに加え、新たにドア横や連結部側にもモニターが設置された

今回のイベントを担当した東京メトロ総務部の小林智彦氏は、「応募者数4,000人以上と大変反響があり、イベントも楽しんでいただけたのではないかと思います。関係各部と連携しつつ、全社挙げて取り組むことで、営業時間中においても今回のような規模のイベントを開催することができました」とコメント。旧型車両が活躍した時代を懐かしむ声もあったとのことで、「昔を知る方々にご乗車いただくというのも今回のねらいのひとつ。その点でも、今回のイベントは成功だったと思います」と話していた。