乗用車とは一桁違う耐久性能

それでもハイエースが音を上げない理由の1つとして、「ハイエース・クオリティ」と呼ぶ独自の品質基準を設定していることを野村氏は挙げた。例えばスライドドアの耐久性は、同じトヨタの乗用車とは一桁違う基準を設定しているそうだ。もともと信頼性では定評のあるトヨタ車の中でも、ハイエースは抜きん出た存在なのである。

世界各地で活躍する車両でありながら、ハイエースの生産工場は数カ所に留まっている。しかも、日本以外は主要部品を輸入して組み立てを行うノックダウン工場としている。これも群を抜く信頼性や耐久性を維持するためであるとのことだ。

  • 2代目ハイエースの画像

    日本以外ではノックダウン生産を行っている(画像は2代目ハイエース)

さらに興味深かったのは、走る・曲がる・止まるという自動車の基本性能においては、いきなり壊れて止まることがなく、事前に異音を発生するなどして使用者に不調を伝えるような設計が込められているということ。インフラとして、プロの道具として、世界の生活を支えているハイエースだからこそ、このような配慮を盛り込んでいるという。

上級の安全装備を採用した理由

今回のマイナーチェンジでは、予報安全装備の「トヨタ・セーフティ・センスP」を装備したことを紹介した。カローラなどが採用している「トヨタ・セーフティ・センスC」より格上のシステムであり、車体構造の関係で「アダプティブ・クルーズ・コントロール」(ACC)がつかないことを除けば、「プリウス」や「C-HR」に並ぶ性能だ。

  • ハイエース3代目および4代目の画像

    ACCこそついていないが、ハイエースの予防安全装備は「プリウス」などに並ぶ性能だ(画像は左が3代目、右が4代目)

格上の安全装備を取り入れたのもまた、壊れないクルマを目指した結果だという。ハイエースのような商用車は、事故などを起こして動かなくなると仕事に支障を及ぼす。使用者だけではなく、取引先など他の多くの人々に影響する。何よりもまず、事故を起こしにくいハイエースにしたい。この気持ちが、2種類ある予防安全装備の上級版導入に結びついたのである。