韓国で実績を持つ投資会社が日本事業を継承

日本におけるバーガーキングの運営権を取得するのは、香港に拠点を置くアフィニティ・エクイティ・パートナーズ(Affinity Equity Partners)なる投資会社だ。同社は韓国でバーガーキング・ブランドの“著しい(significant)”発展を実現させた実績を持つそうで、米バーガーキングのホセ・シル社長も「日本でも再現可能と楽観」しているとのコメントを出している。ちなみに、日本にある98の既存店は、今後も従来のフランチャイジーで運営を続けていくとのことだ。

さて、アフィニティは日本でバーガーキング・ブランドの発展・強化を図っていくというが、それにはどのような策が有効なのだろうか。

バーガーキングの日本事業は香港のアフィニティが買収。既存の店舗では、これまで通りのフランチャイズ体制を継続していくという(画像は御茶の水サンクレール店)

コアなファンは確かに存在も大衆受けは微妙?

バーガーキングの提供する商品群は、どちらかといえば一部のファンが熱狂的に支持するようなものが多く、大衆受けする商品は少ないというのが私の印象だ。個性的なネーミングも多く、単なる利用客からファンのレベルに“昇格”するには、かなりの道のりが必要であることにも言及しておきたい。

コアなファンを作り出し、ニッチな戦略で訴求していく戦略で攻めるならば、店舗の数は最初から関係ない。そこの店舗に行かなければ味わうことのできないテイストや価値観が存在するならば、ファンは遠路もいとわず能動的に店を訪れるはずだ。

これまでのバーガーキングを考えると、その商品群からは、どんな客に来てもらいたいのかというメッセージが見えにくかった。もっといえば、バーガーキング自体が、消費者の選択肢から遠い位置をあえて選んでいるかのようだった。

バーガーキングの独特な商品群にコアなファンは存在するが、一般受けの点では微妙な存在だ

今やどこの街にでもファストフード店はあふれるほど存在する。コンビニも津々浦々に存在し、飽和状態となっている。この環境の中で、消費者に選ばれる存在になることは、はっきりいって相当難しい。

バーガーキングが何を中心軸に据えて拡大していくつもりなのかは、今後の出店の状況などを見て考えてみるしかないが、例えば、東京オリンピック・パラリンピックの2020年に向け、更なる増加が見込まれる訪日外国人を取り込む戦略をとるのであれば、全店を本国仕様にしてみても面白いだろう。いっそ使用言語も本国に習って英語にしてしまえば、英会話の練習にもなるので日本人客が増えるかもしれない。

店舗数の少なさから考えても、このタイミングであれば、バーガーキングは特権として思い切ったリブランディングを仕掛けることができる。日本のファストフード業界に対し、目新しい選択肢として再登場できるような路線をとるならば、バーガーキングは日本市場でも存在感を発揮できるだろう。