赤と黒の外観、営業トレーニングはリッツ・カールトンで

アルファロメオ専売店は、どのような形で始まっているのか。店の外観は赤と黒で統一され、そこにアルファロメオの文字と、アルファロメオのロゴが配されている。店内は、サローネ・ロッソ(赤い客間)を基軸に、ホテルのラウンジのような空間を演出しているという。牛久保氏は狙いを次のように語った。

赤と黒で統一された専売店の外観。画像は2017年10月にオープンした国内8店舗目となる専売店「アルファロメオ小山」(栃木県)だ(画像提供:FCAジャパン)

「黒を敷いた店内の目立つ場所に最新のクルマを置き、これまでも店内にソファーは置いていましたが、そこをよりくつろげる空間としたり、コーヒーバーを設けたりして、VIP感覚を味わっていただけるようにしています。もちろん、携帯電話などの充電コンセントや無料Wi-Fiなど、日常的にお使いの機器を不便なくご利用いただけるようにもしています」

「スタッフはジャケットとスラックスの姿で、ネクタイには色を指定するなど、フィアットでは親近感を出すためポロシャツでもかまわなかったですが、そこを明確に分けています。そうした営業の方々のトレーニングを、リッツ・カールトンで開催するなどして、これまでとは違った顧客満足をいかに高めるかに取り組んでいます」

ネット普及で変わるクルマの買い方、販売店は“一期一会”

同時に、CRM(カスタマー・リレーションシップ・マネージメント)の一環として、ネットでの問い合わせに対する迅速な対応も心掛けているという。

「インターネットでお問い合わせをいただいたお客様に、いかに早く対応するか。例えば米国では、ネットでのカタログ請求に24時間以内で対応することを行っています。一方、国内では、まだそこまで意識が高まっていない面がありました」

「また米国では、10年前には5.4回の来店で(クルマの)購入を決める傾向でしたが、今日では1.7回に来店回数が減っています。それは、事前にネットで情報を得た上で、実際にクルマを見てみなければわからない、質感、肌触り、走りの楽しさなどを(実際に来店して)確認するだけとなっているからです」

顧客がクルマの購入を決めるまでに来店する回数は減っている(画像はアルファロメオ専売店の内観、提供:FCAジャパン)

「国内市場も、そうしたお客様の動向に適した店側の対応ができるようにしていかなければなりません」。このように牛久保氏は付け加える。