富裕層の嗜好に変化?

まず高級車市場の需要は「底堅い」(レクサス国内営業部長の渡瀬修氏)し、国内の自動車市場全体が漸減していくとすれば構成比は増えていきそうな情勢だというのがレクサスの見方。ただし、需要には質的変化が見られるらしく、旭氏は「ラグジュアリーカー市場に転換期」が訪れているとの考えを示した。具体的には、この市場ではモノの所有よりも経験が、そして、モノそのものが発信するストーリーが重視されるようになりつつあるそうだ。

この流れを受けて、新型LSでは定量的なクルマづくりから離れて、デザインや走りの気持ちよさなど、数字に表れにくい「感性価値」を高めることにこだわったという。レクサス自体も、高級車ブランドからライフスタイルブランドへの転換を図っているらしい。

旭チーフエンジニア(左)と須賀厚一プロジェクトチーフデザイナー

新型LSで反転攻勢を仕掛けるレクサス

新型LSの事前受注は7,600台だと明かされたが、月間販売600台を目標とするクルマとして出足は好調なようだ。事前受注のうち8割はLSからの乗り換えだという。どんな顧客がターゲットかという問いに渡瀬部長は、「レクサスオーナーはもちろん他社、特に輸入車に乗っている人」にアピールしたいと答えた。新型LSが再定義した高級車の新たな概念に、輸入車オーナーがどのような反応を示すかが、新型LSの売れ行きを左右しそうだ。

日本におけるレクサスの販売台数を見ると、2017年1~6月は約2万2000台で前年同期比77%と伸び悩んでいる。要因としてはLSのほか、SUV「NX」とコンパクトカー「CT」でもマイナーチェンジを控えていたため、モデル末期の台数減が影響したという。NXもCTもマイナーチェンジ後の受注は好調とのこと。渡瀬部長は2017年後半の販売を加速させるべく、新型LSを起爆剤にしたいと意気込みを語っていた。