――中谷さんにとって「自分らしく生きる」ことはどういうことを意味するのでしょうか。

難しいですね…「自分らしく生きる」ということは、ある意味で「わがままに生きる」ことでもあるわけですから。例えば、自らのジェンダーで悩んでいる人がカミングアウトするということは、本人にとっては大きな出来事だと思いますが、一方でそれが家族や周囲に及ぼす影響を考えると、単なる自己満足になってしまわないのかという考え方もありますし……なんとも言えないですよね。

――簡単なように見えて、実はこれほど難しい言葉はないですよね。

そう思います。人を傷つけずに自分らしく生きられる方法があればいいのですが、そのせめぎ合いは非常に難しい。個人の尊重と集団の利益……それはもう法律でも宗教でもそうなのでしょうけれど、大きな命題だと思います。

――ところで、中谷さんといえばストイックで何事にも完璧なイメージがありますが、実際のところはどうなんですか?

そんなこと全然ないですよ! よくズボンのファスナーとか開いてますし、携帯電話もしょっちゅう家に忘れて旅行に出かけてしまいますし。

――性格や行動など、自分の中でどうしても許せない部分はありますか。

メールの返信が遅い(笑)。あまりにも遅くて「返事しなくちゃ」と思っている間に、メールをいただいたことすら忘れてしまうんです。どうしてもすぐ返せないんですよね。

――確かにメールの返信って、ついつい後回しにしちゃいますよね。

何でも無いメールを頻繁に送ってくれる人、結構いるじゃないですか(笑)。忙しい時にはつい返信し忘れてしまいます。メールをいただけることは嬉しいのですが、撮影中はメールを読むゆとりも、返信をするゆとりもなくて……。そういう意味では「自分らしく」生きています(笑)。

――では最後に、一人の女性として40代をどう過ごしたいですか?

私の人生など大したものではないですが、20代の頃から40代になるのを楽しみにしていました。20代の時は好きなモノがあっても、若すぎてその世界の人たちに相手にされなかったことが多々あって。若い頃から骨董屋さんが好きだったのですが、もちろんいろいろと教えてくださった方もいらっしゃいましたが、多くの場合は、私ごときがまだ敷居をまたいではいけなかったんだなと思う経験をすることがありました。今はそういった場所にも堂々と足を踏み入れられるようになったとは思います。

――むしろ若い頃よりも目の前が開けている、という感じですか。

まだまだ若輩者ですけれど、楽しいことがたくさん待っている気がするんです。例えば若い頃と比べ、たまたまカウンターでお隣になった方が楽しそうに話してくださるようになったのが嬉しいです。

――ちなみに、初対面の人とどんな話をされるのですか?

食の好みが同じ人とは話もだいたい合うような気がします。それ以上でもそれ以下でもなく、流れに任せてその場の出会いと会話を楽しむ、という感じです。連絡先も聞きませんし、教えません(笑)。単なる好奇心というか、もはや「人の心を覗き見たい」という悪癖に近いですけど、年齢を重ねるにつれ、目の前で繰り広げられるさまざまな人間模様を楽しめるようになりましたね。

出演はほかに桐谷健太、国仲涼子、大谷亮平、鈴木浩介など。「連続ドラマW 東野圭吾『片想い』」は10月21日(毎週土曜 22:00~)WOWOWプライムにてスタート。全6話(初回は無料放送)。