前回のコラムで、振られたショックから立ち直れず、相手を恨む気持ちについて言及しましたが、それでもまだ恨みは晴れないという方もいることでしょうか。今回はそんな人に向けて、私の実体験から伝えたいメッセージをお届けいたします。

  • 失恋

一度交際した相手を拒絶することの苦しみ

別れを告げられ、あなたはこれ以上の苦しみはないというほどの苦痛を味わったことでしょう。でも、そんなあなたの想いを拒絶してしまったあの人も、態度には出さなくても、一人で苦しんでいることを理解してあげてみませんか。

自分を好きになってくれた、一度でも心を通わせ合って交際することができた相手を拒絶するのは辛いものなんです。自分を納得させるために、相手に諦めてもらうために、鬼のように心を冷徹にせざるをえないのです。また、自分から振った側は、相手を恨んだり、憎んだりせずに、どうか相手には幸せになってもらいたいと切に願うものです。

それでも、許せない、と言うならば、私がかけられる言葉はありません。一時的な感情ならともかく、半年、一年と、長い間絶えず相手への憎しみが消えないのならば、恋愛感情とは別次元の可能性が高いのです。もしかしたら、その譲れない感情は、愛情からではなく、自己愛からくるものなのかもしれません。

相手を好きということではなく、自尊心を傷つけられたため、相手を不幸に陥れることで自分のプライドを満たそうしているのです。そんな歪な感情に救いはなく、破滅への道を辿っている現実に気づいていただきたいです。

私はその代償として、今も独りで生きています

私自身、自分から別れを切り出してしまった元彼女や、裏切ってしまった親友のことを今でも忘れられないからこそ声を大にして言いたいのです。そのときは、自分が楽になりたいから、間違いがないと確信して決断したはずでしたが、時間が経ち、気づいたのです。そして私はその代償として、今も独りで生きています。

独りになってから気づいたことがあります。それは「自分にとって相手はかけがえのない存在だった」ということ、そして「もっと別の選択があったのではないか」ということです。失ってから初めて気づき、でも時すでに遅しというケースがとても多いのです。つまり、相手には新しい恋人ができていたり、別の人生を送っていたりで、もはや自分が相手に干渉する術はいっさいなくなっているのです。もはや手遅れなのです。

許しの心が自分自身の救いにもなる

今、自分に別れを告げたあの人は、傷つけてしまった罪悪感から、そして自分の決断に責任を持つために、行動を控えていたり、距離を置かざるをえないのかもしれません。人は誰もが完璧な存在ではありません。失敗もありますし、後で後悔することもあります。でも、気づいたその日から歩み寄れば、生まれ変わることができるのです。

自分を振ったあの人は、決してあなたに態度や言葉でその苦悩を見せないかもしれません。それでもあなたがその苦しみに気づき、許してあげることが出来たその日から、お互いの人生が変わるはずです。あなたが相手を許せたときに、相手もあなたによって救われます。心の底からあの人を許してあげることができたとき、新しい未来が切り拓かれるのです。

文●TAKA氏

筆者プロフィール:TAKA氏
地方公務員として勤務する傍ら、ストレス発散や心の悩みを和らげるための憩い場を提供するリラクゼーションサイト「ラブステ」を運営中。恋愛に不器用な方や、孤独や不安に苛まれて明日を見失っている方を対象に、サイト内の相談所やメールを通じて、相談も受け付けている。自身の経験と傾聴のスタンスをもとに、6年間で約500名の相談者と対話した実績を持つ。