1年を通して、いつでも食べたくなるのが蕎麦。サッと手軽に食べられる店もあれば、ゆっくり楽しむこともできる落ち着いた店もあり、ランチタイムにも、飲んだ後のシメにも、蕎麦を手繰っている人も多いのでは? そんな通の人もたくさんいる蕎麦の世界で、異彩を放っているのは「なぜ蕎麦にラー油を入れるのか。」(東京都新宿区)。今回は人気メニューの「とろろ肉そば(大)」を食べに、東新宿店に行ってきた。
「なぜ蕎麦にラー油を入れるのか。」と言われましても
同店は、東京メトロ副都心線「東新宿駅」のB1出口から明治通り沿いを大久保2丁目の交差点に向かって少し歩くとある。ひと際目立つ店名、なぜ蕎麦にラー油を入れるのか。一見、哲学的な問答にも思える看板を前に、一休さんのごとく立ち止まってしばし考える。しかし、よく見たら決して「なぜ?」と問われているわけではない。そうだ、俺は蕎麦を食べに来たのだ。とりあえず深く考えることなく、店内に足を踏み入れた。
この店のルーツになっているのは、池袋にある本店「壬生(みぶ)」。もともと、オーナーが「蕎麦を1,000円以下でお腹いっぱいになってもらうにはどうすればよいか?」と考え、現在の業態で開店したのが始まりだそうだ。
店内はカウンター9席とテーブル4席(2卓)と、1人でも気軽に入れる雰囲気だ。入り口にある券売機の写真を見てみると、どのメニューもボリュームがありそう。基本的なメニューは、つゆにラー油が入ったもの(蕎麦自体にラー油が練り込まれているわけではない)。また、冬以外はつけ蕎麦のみ。冷水でしっかり締めた麺を冷たいつゆか温かいつゆで食べるというものだ。小・中・大と量が選べるのだが、どれも同じ金額設定となっていた。ならば大盛りを頼むしかないでしょう! 早速「とろろ肉そば」の大盛りをオーダーした。
豪快な肉と麺に思わずうなる
食券を店員さんに渡し、待つこと数分。出てきたのは、エベレスト級に盛られた蕎麦……、というかどっさりのった海苔と牛肉の量がすごくて麺が見えてない! なんて豪快なんだ。胡麻もたくさんかかっており、ネギものっている。そしてその横には、これまた大ぶりな茶碗に入ったつゆととろろ。これは見るからにお腹いっぱいになりそう。
海苔をかき分けて箸を伸ばしていくと、麺を発見。海苔、肉と一緒に持ち上げると、お、重い! この麺、太めでヘビーな手応えだ。つゆにたっぷりとくぐらせて食べてみると、コシが強く、かなりかみ応えがある。つゆは結構甘めで、ラー油の辛みが後からじんわりやってくる。想像以上にコシの強い麺と、たっぷり入った肉を食べて行く感覚は、蕎麦をツルツルすするというよりも、ガシガシと食べ進めて行くようだ。
また、風味豊かな胡麻と、新鮮なネギのシャキシャキした食感もイイ。食べながらふと見ると、テーブルにたくさんの生卵が置かれている。もしやこれ、食べ放題!? とろろの上に生卵を入れて、ますますスタミナ感倍増。お客さんの中には、3つ4つと入れて食べる人もいるようだ。さらに、フライドガーリック入りのラー油を追加してみると、カリカリの食感とガーリックの香りでさらに食欲をそそられる。
麺を食べ終えたら、蕎麦のシメには欠かせない蕎麦湯が券売機の横にセルフで常備されている。それだけでなく、魚粉を蕎麦湯に加えて味の変化を感じることもできるので、最後まで飽きることなく食べることができるのだ。
いや~、これは単なるお蕎麦屋さんというよりも、お腹を満たしつつ楽しめるちょっとした食のエンターテイメントかも。やみつきになって通い詰める人が続出するのも頷ける。非常に大満足だった!
メニューはそのほかに、「鶏そば」(税込790円)、「辛みおろしそば(ちくわ天)」(税込890円)、「エビ天そば」(税込930円)などもあり。現在では都内のみならず、山梨県、長野県にも出店しているようだ。ぜひこのクセになる味を試してほしい。
●information
なぜ蕎麦にラー油を入れるのか
住所:東京都新宿区大久保1-3-22 ヴァンヴェール新宿
営業時間:11時~16時、17時30分~22時(麺がなくなり次第終了)
定休日:無休