東京急行電鉄は25日、世田谷線300系1編成をラッピングした「玉電110周年記念 幸福の招き猫電車」の車両お披露目・内覧会を実施した。世田谷線の沿線名所のひとつで「招き猫発祥の地」ともいわれる豪徳寺の協力の下、招き猫をデザインした車体ラッピングに加え、車内の床面に猫の足跡を施し、「招き猫型吊り手」も採用した。
世田谷線の前身である玉川線は、1907(明治40)年3月に道玄坂上~三軒茶屋間、4月に三軒茶屋~玉川間、8月に渋谷~道玄坂上間が相次いで開通。新玉川線(現在の田園都市線渋谷~二子玉川間)建設工事にともない1969(昭和44)年5月に廃止されるまで、「玉電」の愛称で親しまれたという。三軒茶屋~下高井戸間は玉川線の一部として1925年に開業し、玉川線廃止を受けて世田谷線に改称された。現在は同社唯一の軌道線として、低床式の車両300系(連接車2両編成)を使用し、日中時間帯におおむね6分間隔で運行される。
「玉電110周年記念 幸福の招き猫電車」は、東急電鉄が実施する玉電開通110周年記念イベントの一環で運行される。使用車両は300系の308編成で、車体前面に招き猫の顔がデザインされ、車体側面には招き猫とともに「Welcome」「玉電110周年 幸福の招き猫」と記された。ラッピング電車の招き猫は豪徳寺オリジナルデザインを使用しているとのこと。車内は入口から通路にかけて猫の足跡を床面に施し、吊り手にも招き猫の耳と手(前脚)を取り付けるなど、「見て、乗って楽しめる」デザインとなっている。
玉電が走っていた当時の面影を残す世田谷線では、沿線に豪徳寺など魅力ある旧跡名所があり、古くからの商店街も点在することから訪日外国人旅行者にも人気だという。車両お披露目・内覧会に参加した豪徳寺の副住職、粕川徹哉氏はラッピング電車を前に「招き猫は開運招福ですので、福を招いて地域活性化できれば幸い。多くの方々に足を運んでいただきたい」「近年は海外からも多くのお客様がいらっしゃいます。笑顔は世界の共通言語といわれるだけに、たくさんの笑顔を見たいと思っています」と話した。
世田谷線では玉電開業当時の車体色を模したラッピング電車も運行されている |
「玉電110周年記念 幸福の招き猫電車」は9月25日の午後から営業運転を開始した |
玉電110周年を記念したポスターが世田谷線各駅に掲出されている |
この日は車両お披露目・内覧会の後、「玉電110周年記念 幸福の招き猫電車」は上町駅13時2分発、下高井戸行の電車で営業運転を開始し、その後は下高井戸駅から三軒茶屋駅まで世田谷線を往復した。世田谷線では現在、玉電開業当時の車体色を模したラッピング電車も運行されており、いずれも2018年3月末まで運行予定とのことだった。世田谷線の各駅では、玉電の歴史を物語る昔の車両デザインや写真を掲載したポスターも掲出(10種類。掲出期間は2018年3月末まで)されている。
東急電鉄が実施する玉電開通110周年記念イベントでは、他にも「招き猫」をキーワードに、猫の写真投稿キャンペーンや写真展、オリジナル招き猫の絵付けワークショップ、地元商店街と連携したキーワードラリーなどの企画が予定されている。