ステーキハウスひしめく六本木に10月17日、新たなプレイヤーが参入する。米国産アンガスビーフを熟成肉に仕上げ、食欲をそそる独特のナッツ臭を漂わせつつニューヨーク・マンハッタンから上陸する新興勢力、その名も「エンパイアステーキハウス」だ。六本木を舞台に勃発した、肉汁で肉汁を洗うステーキ戦争も、いよいよ混迷の度合いを増してきた。
ピータールーガーの流れを汲む本格派が日本1号店
エンパイアは、ジャック、ジェフ、ラスのシナナジ兄弟が2010年に立ち上げたステーキハウス。兄弟はブルックリンにある1889年創業のステーキハウス「ピータールーガー」で合算25年以上の修行を積み、マンハッタンに自分たちの店を開いた。現在は5番街とミッドタウンイーストに2店舗を構え、全米No.1のレストランガイド「ザガット・サーベイ」に掲載されるなど、ステーキの激戦区であるニューヨークでも名の通った存在になっているという。
そのエンパイアが、六本木に日本1号店をオープンする。「ウルフギャング・ステーキハウス」「ベンジャミンステーキハウス」「アウトバックステーキハウス」など、店舗が飽和状態でステーキ戦争の様相を呈する六本木だが、エンパイア上陸で戦局に変化は見られるのだろうか。過日行われたエンパイアの試食会をレポートしつつ、その魅力と可能性を探ってみたい。
熟成肉と非熟成肉の食べ比べ体験
米国のステーキといえば、どんなものを思い浮かべるだろうか。おそらく多くの消費者は、大きくて、スパイスが沢山かかっていて、硬い肉というイメージを持っているのではないだろうか。ボリュームは満点だが、厚みのある肉にしっかりと焼きを入れようとすれば、自ずから外側はしっかりと焦げ目がついてくる。少しでも柔らかい肉を食べようとミディアムレアで注文すると、どちらかといえば、血の滴る草履のような肉が皿に乗って出てくる。偏見かもしれないが、こんな印象がある。
しかし、エンパイアで提供される実際のアメリカンステーキは、このイメージを良い意味で裏切ってくれる。