大人の中耳炎は軽症であれば自然治癒するケースもあるが、リスクを低くするためにも耳鼻科で適切な治療を受けるのがベストだ。

「耳鼻咽喉科では、まずは耳の中を見て炎症をチェックします。中耳炎だと判明すれば、原因となっている鼻の治療をしながら抗生剤で炎症を抑えます。炎症は抗生物質を飲めば1週間以内で治ることが多いです」

痛みがあれば痛み止めを処方し、膿がたまっている場合は膿を吸い取り、鼓膜を切開して膿を出し切ってしまうこともあるとのこと。中耳炎が慢性化して鼓膜に穴が開いているケースでは、手術をすることもあるという。

場合によっては手術も行う

高齢者が注意すべき中耳炎

ところで、中耳炎になりやすい人の特徴はあるのだろうか。神崎医師は「常に鼻をすすっている人は、中耳炎になりやすいので要注意です」と話す。

「鼻をすするということは、出るべき鼻を常に中に押し込んでいるのです。日本人は比較的鼻をすする人が多いと言われています。中耳炎が慢性化している人や何度も再発している人は、鼻をすする方が多いです」

また、高齢者には滲出性(しんしゅつせい)中耳炎という別の種類の中耳炎が多いと指摘。

「中耳粘膜と呼ばれる粘膜からは、わずかですが分泌液があります。この分泌液が鼻からスムーズに出るのが理想ですが、炎症などが原因で中耳に溜まったままになってしまうことがあります。これが滲出性中耳炎です」

滲出性中耳炎は痛みの代わりに耳がつまるような感じや、難聴などの症状が出る。痛みがないため気づきにくく、一度発症すると治りにくいという特徴を持つ。特に高齢者は加齢による難聴と勘違いをして、滲出性中耳炎を放置している人も少なくないという。

子どもの病気と思われがちな中耳炎は、実は大人でも発症するリスクが十分にある。特に花粉症や鼻炎などのアレルギー体質で鼻がつまりやすい人や、風邪で鼻がつまっているときは注意が必要だ。

「たかが鼻づまり」とあなどることなかれ。「よく鼻をすする」「いつも鼻がつまっている」「鼻のコンディションがよくない期間が長い」などの特徴に当てはまる人は、中耳炎発症リスクを軽減するためにも一度耳鼻科で相談をしてみるといいだろう。

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