WOWOWの『連続ドラマW アキラとあきら』(7月9日 毎週日曜 22:00~ 全9話・1話のみ無料放送)で、W主演を務めた向井理と斎藤工にインタビュー。原作は『下町ロケット』や『半沢直樹』の池井戸潤で、昭和61年のメガバンクを舞台にした骨太のヒューマンドラマとなっている。

主人公は、大企業の御曹司でエリートの道を歩んできた階堂彬(向井理)と、父の会社の倒産や夜逃げなど、数々の逆境を乗り越えてきた山崎瑛(斎藤工)という、生まれも境遇も違う"アキラとあきら"だ。共演は4作目で、プライベートでも交流がある2人だが、今回はW主演ということで、本作へ懸ける意気込みやお金にまつわるエピソードについて話を聞いた。

W主演を務めた向井理(左)と斎藤工

――W主演のオファーが来た時の感想から聞かせてください。

向井「すごくうれしかったです。WOWOWは元々視聴していてドラマWの枠も知っていましたし、民放ではなかなかできない骨太な題材の作品が多いと思っていました。今までやったことがない役をどんどんやっていきたいと思っているので、念願のWOWOW 作品への出演ですね」

斎藤「お話をいただいたのは2年前ですが、そんなに早い段階で企画をいただいたのは初めてでした。まだ台本はなかったけど、企画内容と、理といっしょだということは聞いていました。それだけ信用してもらっているということがうれしかったですし、贅沢な準備期間が設けられているという感じがしました」

――アキラとあきらは育った環境は違っていても、良きライバルになっていきます。その関係性についてはどう思われますか?

向井「ただ、敵対するのは簡単だけど、立場が違うのにいっしょに戦うというのはそんなに簡単なことではないです。そういう意味で、2人の関係性はすごく面白いドラマの要素の1つだなとは思います」

斎藤「ライバルというか、対峙もするけれど、お互いにカバーし合い、良きパートナーになっていくという感じです。環境の違う真面目な2人がそうなっていく流れが面白いですし、その関係を同学年の理といっしょに作れるということで、お互いの今までの時間が少なからず活かせる状況にあることはありがたいと思いました」

――お互いに演じたアキラとあきらに似ている点はありますか?

向井「全く似ているところが見つからないです。生い立ちや立ち居振る舞いに至るまで全然わからないことだらけ。そこは想像でカバーしつつ、台本というたたき台があるので、それに忠実にやっていくだけです」

斎藤「いや、いっぱいあるよね。品位とか」

向井「ないよ(笑)。ないです。持ちたいよ」

斎藤「いやいや。エスプレッソな感じがするし」

向井「アハハ。どちらかというと工の方でしょ? 僕はカプチーノくらいだよ」

斎藤「いやいや。まとっている品位がすごく重なるよ。インテリジェンスや優雅さを性質として持ち合わせているので、オーラがすごく似ていると思います。まあ、山崎は階堂との対比で描かれているし、逆もあると思いますが、応援したいキャラクターではあります。また、僕は理をすごく意識して、自分はどういう球を投げようかという対比で自分の立ち位置を模索している感じです」

――バンカーということで、お札の数え方などはかなり練習されましたか?

向井「やりましたね。DVDをもらって、それをずっと見ながら練習しましたが、全然上手くならないからイライラしました(笑)。指紋がなくなるくらいまでずっとやっていましたよ。"横勘"、"縦勘"という数え方があり、横勘は扇形にするんですが、できるとすごく気持ちがいいですね。でも、練習用のお札は当時の時代にはないものだったので、実際に使ったお札は滑らないものでした。家で練習した時はけっこう自信があったんですが、本番では全然できなくてすごくショックでした(苦笑)」

斎藤「理はすごく上手でした。超びびりましたから。僕も毎日練習しましたが、なかなか均等に上手くいかなくて。やっぱり年月がいるものだろうなと思いました」

――改めてお金に関しての価値観についても聞かせてください。

向井「僕は貯めようという意識があるわけでもないけど、あんまり買い物とかをしないタイプですね。でも、今回銀行員の役をやってみて、お金の価値って何だろうな? と改めて思いました。何十億だ、何百億だと言われても、実際にそのお金の現物を見ることがないし、いつも数字の上だけというか、バーチャルな感じなんです。だからその価値は、使わないと意味がないんだろうなと。

たとえばおいしいものが食べたいと思った時、食べて初めてそのお金の価値が発生するけど、ただ持っているだけだと本当に紙切れだなと。だから僕は、お金の実感を感じるために、なるべく現金で買うようにしています。カードで買っちゃうと、何だか実感がないし、怖いなあと思うので。今回の役をやってみて、お金の価値って不思議だなと。ますますわからなくなりました」

斎藤「台本上の架空のものとはいえ、預金残高は口に出して言うものじゃないなと(苦笑)。自分を見る目線が、資産というか、お金という観点にいく感じがするので。今回のあきらみたいに、貧しい環境から出てきた人間の役をやった時、『こいつの予算は?』みたいな情報やそういう目線はすごく無駄だなと思いました」

向井「変な色がついちゃうからね」

斎藤「お金という見方っていろいろと怖いなと」

――向井さんと斎藤さんも同い年で共に俳優としてご活躍されていますが、お互いにライバル意識のようなものを感じたりしますか?

向井「ライバル意識というのはないですね。ただ同い年、同級生というのは共通言語がいっぱいあるから、いちいち話さなくても同じ光景を見て育ってきたという安心感みたいなものがあります。それは劇中のアキラとあきらと似ている部分がある気がします」

斎藤「僕もそういうむき出しのライバル意識みたいなものは全くないです。たとえば同い年の綾野剛や金子ノブアキなどもそうですが、彼らがどういうポジショニングをしていくかということに対して、自分はどの球種で行ったらいいかとか、自分の強みって何だろう? ということを考える理由の1つにもなるので、そういう意味では同じ時代を同じ職業で過ごしている彼らから化学反応をもらっているという感じです」