つけっぱなしは得?

――去年もお聞きしましたが、冷房のつけっぱなしって結局どうなのでしょうか
あれから当社でも実験をしてみたのですが、9:00~18:00の日中であれば「30分の外出ならつけっぱなしの方が得」「常につけっぱなしは逆効果」という結果でした。あくまで30分の外出に条件を絞り、8月の猛暑日に南向きマンションで実施したときの実験結果ですので、住宅や外気の条件によってはまた違った結果になるかと思います。

――やはり一概には言えないですよね。でも「つけっぱなしの方が得な時もある」ことが分かっただけでも良かったです
一戸建ての住宅で実施した他社の実験では、5時間くらいならつけっぱなしの方が安いという結果も出たようです。良くないのは、「つけっぱなしの方が安くなる」という説を安易に信じてしまうこと。いろんな条件が絡んだ上での話だということを認識してほしいですね。

窓や家電からの熱を減らす

――効果的な冷房運転に役立つテクニックはありますか?
部屋に熱がこもっている場合は、まず換気をして外気温と同じ温度にしてから冷房をつけること。また、冷房のモードは基本的に自動運転を選ぶのが一番効率がいいです。

日中は、植物による「緑のカーテン」を窓の外に育てたり、「すだれ」や「よしず」で日差しをカバーしたりして、外部からの熱を遮断することも有効ですよ。カーテンを閉めるだけでも効果はありますが、窓の内側よりは外側で熱をさえぎるようなものがより良いですね。

そして室内では、使っていない家電製品の電源をなるべく切るようにするといいでしょう。テレビやパソコン、無線ルーターなどは発熱する家電なので、これらを切るだけでも室内で発生する熱を少なくすることができます。

――設定は自動運転、窓からの熱を遮断し、熱が発生する家電はなるべく切る。これに気をつければ電気代も減らせるわけですね。サーキュレーターや扇風機との併用についてはどうですか?
サーキュレーターや扇風機で空気を循環させ、室内の温度ムラをなくせば自動運転の精度が上がります。また、「気流」があることも室内の快適さに関わる大事な要素ですから、有効だと思いますよ。

あと、熱帯夜対策に使えます。

扇風機で熱帯夜も涼しく

――熱帯夜対策?
真夏でも深夜はタイマーでエアコンを切ってしまう人も多いと思うんですけど、私は暑がりなもので明け方に起きてしまうんですよね。かと言って、エアコンの風を体に直接当てると、喉が痛くなったり体がだるくなったりします。

そこで、扇風機やサーキュレーターを使うんです。エアコンを高めの温度設定にして、風向を上向きにし、つけっぱなしにしておきます。そしてエアコンの対角線上から扇風機やサーキュレーターで送風すると、風は直接体に当たらないのにすごく涼しくなるんですよ。

――なるほど。僕も暑がりなので今度試してみます!

風圧はストレスに

――今の話で思い出したんですが、「扇風機の風を顔に当てながら寝ると死ぬ」という都市伝説は本当なのでしょうか?
死ぬかどうかはわからないですが、体に良くないことは確かです(笑)。扇風機に限らず、風が直接当たり続けると風圧のストレスでだるくなりますよね。

扇風機の使い方としては、壁に向かって運転させるのも有効ですよ。弱気流でも直接当たるとストレスになりますが、壁に跳ね返った風はやわらかくなるので、ほどよい気流になります。

――つけっぱなしが得な時もあるとか、壁に向かって扇風機を回すのも良いとか、冷房の使い方は実に奥が深いですね……。たいへん勉強になりました。ありがとうございました