リアルワールドで使える技術であること

高速道路において、先行車を追従してクルマの自動制御を行うシステムは「アダプティブ・クルーズ・コントロール(ACC)」と呼ばれ、日産自動車が「セレナ」と「エクストレイル」に搭載している「プロパイロット」が有名だし、欧州勢を含めた複数のメーカーにも用意がある。スバルはどこで差別化を図るのだろうか。同社が試乗会の説明で強調したのは、「リアルワールドで使える」ことと「(アイサイトが行う自動制御は)運転が上手い」ということだった。

スバルが自社計測データをもとに作成した他社との比較

いくら新規技術を搭載してあったところで、実際に使えなかったり、使えたとしても作動率が低かったりしたのでは恩恵に乏しい。スバルでは、アイサイトの機能をカタログ上で終わらせず、現実世界で実際に使ってもらえるものとすべく、渋滞などのケースでもシステムが途切れないように「ついていく技術」を進化させた。

運転が上手いとは、クルマ側が行う自動制御の精度が高いということだ。他のメーカーの機能を試したことがないので判断できないのだが、今回の試乗会で乗った新型レヴォーグのプロトタイプについていえば、自動制御の加速、減速、ステアリングはスムーズで、体が急に前後左右に揺さぶられるようなシーンもなかった。

これから全車標準装備へ

新型アイサイトは今夏発売のレヴォーグおよびWRX S4に全車標準装備し、その後はスバルの全車種で標準装備化を進めていくという。同社では「先進運転支援・安全装備は普及してこそ意味がある」との考えから、価格も低めに設定している。レヴォーグおよびWRX S4では、アイサイトの進化を含め複数の仕様を充実させるが、車両本体価格は現行モデル比で数万円程度の上昇に抑えるとのことだ。

今夏発売の「レヴォーグ」(左)と「WRX S4」

スバルが昨年10月に発売した「インプレッサ」と、今年5月に発売したSUV「XV」はアイサイトver.3に対応している。スバルによると、ツーリングアシスト機能の追加はソフトウェアの更新で可能とのことだったので、インプレッサなどの既存車種でも夏以降は新機能が追加になるのかと思ったのだが、このような変更には国の認可が必要だそうで、すぐに対応するのは難しいという。

インプレッサとXVを最近購入した人には少し残念かもしれないが、これらの車種では次のマイナーチェンジでアイサイトの進化が見られるだろう。レヴォーグおよびWRX S4でツーリングアシストが良い評判を獲得すれば、これからモデルチェンジを迎えるスバル車にとって、アイサイトの進化が大きなアピールポイントになるはずだ。