『シャリバン』『シャイダー』の両作には、もちろん宇宙刑事ギャバン(typeG)=十文字撃も登場し、銀河宇宙に巣くう邪悪な存在を独自で探るという重要な任務で活躍する。最新作『スペース・スクワッド』にも通じる撃のキャラクター作りについて荒川氏は、「『ギャバン THE MOVIE』ではドラマ的にかなり重いものを背負っていた撃だから、新作では元気になったというか、いろいろな苦悩を吹っ切った撃として描こうとしました」と、撃の新しい魅力を切り拓こうとした点を強調。

撃を演じる石垣佑磨も、『シャリバン』『シャイダー』ではシナリオにないアドリブをどんどん挟み込むなど、撃の個性を印象付けるべく努力を重ねていたという。荒川氏はロケ現場を見に行った際、「石垣君がアドリブを入れてくるので、困る快と舟」という様子を鮮烈に記憶していると語っている。その点を中野氏は「今回はVシネマですから、尺のことを気にせずどんどんアドリブで(芝居を)膨らませられたのはよかった」と、Vシネマならではの利点を明かしてくれた。

Vシネマ『シャリバン NEXT GENERATION』『シャイダー NEXT GENERATION』は大好評をもって迎え入れられ、2015年には『特捜戦隊デカレンジャー 10YEARS AFTER』(監督:竹本昇、脚本:荒川稔久)が製作。ここでは『特捜戦隊デカレンジャー』(2004年)の主要キャストが結集し、"その後のデカレンジャー"が描かれた。

最新作Vシネマ『スペース・スクワッド』は、『宇宙刑事 NEXT GENERATION』と『デカレンジャー 10YEARS AFTER』に続く作品として、大いに期待が込められている。このヒーロー共演作品の評判次第では、今後もさまざまなヒーローが集結するコラボレーション映画が作られるかもしれないからだ。

まだ気が早いかもしれないが、今後、どのようなヒーローに"帰ってきて"ほしいかを尋ねられた荒川氏は、「宇宙刑事ではないですが、宇宙からやってきたヒーローということで、『マシンマン』のその後を描いてみたい」と、1984年に放送されたヒーロー作品『星雲仮面マシンマン』を挙げ、客席を沸かせた。

テレビの世界では、先ごろ『宇宙戦隊キュウレンジャー』第18話「緊急出動! スペースヒーロー!」で、ギャバン、デカレンジャーとキュウレンジャーがつながったばかり。塚田氏は最後に「これから先も、ヒーロー同士が力を合わせるコラボ作品だったり、宇宙刑事の続編だったり、いろいろな可能性を秘めた面白い作品を作っていきたいと思います」と力強く宣言し、中野氏は「夢の実現につながるよう、『スペース・スクワッド』を応援していただき、たくさんの人に広めてくださるとうれしいです!」と作品のヒットを願って客席に"拡散"を呼びかけていた。

『スペース・スクワッド』のDVDは7月19日にセル・レンタルがスタートする。また、『ガールズ・イン・トラブル』のDVDは8月9日にセル・レンタル開始。『スペース・スクワッド』と『ガールズ・イン・トラブル』を合わせたコレクターズパックBlu-rayは7月19日に発売される。そして、劇中小道具を再現したギミック満載のアイテム「レーザーブレードオリジン」を加えた初回生産限定「スペース・スクワッド ガールズ・イン・トラブル レーザーブレードオリジン版」は7月19日にDVD、Blu-rayの両バージョンが発売される。

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秋田英夫
主に特撮ヒーロー作品や怪獣映画を扱う雑誌などで執筆。これまで『宇宙刑事大全』『宇宙刑事年代記』『メタルヒーロー最強戦士列伝』『ウルトラマン画報』『大人のウルトラマンシリーズ大図鑑』『ゴジラの常識』『仮面ライダー昭和最強伝説』『日本特撮技術大全』『東映スーパー戦隊大全』『ゴーグルV・ダイナマン・バイオマン大全』『鈴村健一・神谷浩史の仮面ラジレンジャー大百科』をはじめとする書籍・ムック・雑誌などに、関係者インタビューおよび作品研究記事を多数掲載