日本にいながら、世界各国の料理が味わえるといっても過言ではない東京都内。普段はあまり食べる機会のない料理を日夜求め歩いている、グルメなあなたに紹介したいのが「チョリパン」。日本ではまだあまり馴染みのないこの料理、アルゼンチンのソウルフードなんだとか。果たしてどんな料理なのだろうか? 早速、日本初の本格的なチョリパン専門店「ミ チョリパン(Mi Choripan)」(東京都世田谷区)にお邪魔してきた。

「ミ チョリパン(Mi Choripan)」(東京都世田谷区)は、井の頭通り沿いのカラフルな建物が目印

アルゼンチン料理「チョリパン」はガッツリ系ファストフード

小田急線・東京メトロ千代田線「代々木上原駅」より5~6分程度歩いた場所に店舗を構える「ミチョリパン」。異国情緒がありながら、どことなく家庭的で落ち着いた雰囲気も感じさせる店内は、結構奥行きがあって全20席。井の頭通り沿いの広い歩道に面して、人も車も多く行きかうため、終日まんべんなくお客さんが訪れるようだ。

入り口をくぐると、すぐに香ばしい匂いが鼻をくすぐる

お店は2013年の1月にオープンして以来、これまでにも多くのメディアに取り上げられている。確かに「チョリパン」ってあまり他では聞かない料理だし興味を引かれる。そこで改めて店長を務める中尾真也さんに聞いてみた。すいません、「チョリパン」ってどんな料理ですか?

明るい雰囲気でとてもくつろげる店内

「アルゼンチンのソウルフードとも言える屋台料理です。日本の食べ物に置き換えるとたこ焼きみたいな感じで、気軽に食べられるものなんです。おやつにもなるし、ご飯にもなるし、"シメのチョリパン"もなったりします」。

キリッと男前な店長・中尾真也さん。チョリパンを日本に紹介した功労者かも

シメのラーメンならぬ、シメのチョリパン!? なんだか一気に身近に感じてきたぞ。中尾さんがチョリパンと出会ったのは、奥さまと1年半かけて世界50か国を回る旅をしていた途中で立ち寄ったアルゼンチンでのこと。初めて食べたときにチョリソーの「パリッというよりは肉肉しい感じの、日本にはない食感」が印象に残っており、帰国後に飲食店を始めることになった際に思い出したことから、日本では珍しいチョリパンの専門店を開くことなったそうだ。

店内奥には店長ご夫婦の似顔絵が!?

ただし、チョリパンはアルゼンチンでは特別に意識して食べるようなものではないらしく、中尾さんが日本でチョリパン屋をやると言ったら、「おまえ、こんなので店やるのか!?」と現地の人に笑われたくらいだそうだ。それだけ、アルゼンチン庶民の生活に欠かせないものなのかも。

カスタムチョリパン用のトッピング具材。ランチ後のためかなり減っている状態

店を開くことになり、「やるからには、中途半端なものじゃなくてちゃんとしたものを作ろう」ということで、再びアルゼンチンへと向かい、3カ月間の修行でチョリパンの作り方を習得したという中尾さん。ただ単に作り方を覚えるのではなく、現地の修行で大切にしたのは「現場感」だそうだ。

日本にはない視点、チョリパンが普通に食べられている現地でのソーセージの作り方や、提供の仕方を見て感じることが大事だと思ったという。お店のHPには、そんな中尾さんの「アルゼンチン修行の思い出」が掲載されているので、詳しくはそちらをご覧頂きたい。

オープンキッチンでチョリパンが出来上がる行程を見ながら待つのも楽しい

アルゼンチンは「牛肉を世界一食べる国」だそうで、チョリパンに挟むチョリソーはメインに牛肉を使っているのが、普通のソーセージとの大きな違い。作って熟成させてから一度炭火で下焼きをして、食べられるまで4~5日くらいかかるとのこと。

チョリソーは、作ってから熟成などをして食べられるまで4~5日かかるという

日によって作る本数は違うが、実店舗だけでなくキッチンカーもやっているので、イベントへの出店が重なると1日200本くらい作ることもあるのだとか。キッチンカーは平日は決まった場所の駐車場で出店し、土日はサッカースタジアムなどイベントでの出店も行っており、FIFAクラブワールドカップ2016の際にも会場で好評を得ていたようだ。また、デリバリーも行っており、こちらも人気を集めている。

黄色いボディが目立ちまくりのキッチンカーは都内を中心に活躍中

「肉」らしさを感じられる「チョリパン」に舌鼓

では早速、オススメのメニュー「カスタムチョリパン」(税込1,100円)を注文してみた。これは、半分に切られたチョリソーをパンに挟み、オレガノ等の香辛料とビネガーを合わせた「チミチュリソース」を乗せて食べるシンプルなチョリパンに、レタスとトマト、炒め玉ねぎ、ネギマヨネーズ、アルゼンチンサルサを自由に加えて食べる人気メニューだ。かなりボリュームがあり、見るからに食欲をそそられる。

半分に切り強めの火力でじっくりと焼かれるチョリソー

それをパンに乗せて、

その上にたっぷり野菜をトッピング

パンに挟めないほどのギッシリ感!

たっぷりのトッピングを乗せて豪快にいただきます! まず、固さがフランスパンとコッペパンの中間くらいのパンはとても香ばしくておいしい。そこに挟まれたチョリソーは100gほどあり、思いっきり「肉」を感じさせるボリューム。

肉+野菜のトッピングで食べ応え満点

当初はホットドッグ的な感じかな、と思っていたものの、実際に食べてみるとハンバーガーに近いイメージだった。しかし、ハンバーガーと違うところが、やはりその肉の食感。かみ応えがあって、すごく野生的な肉料理をパンには挟んで食べているという感じだ。

ボリュームたっぷりだが独特の爽やかさもあり

そして、チミチュリソースの酸味とピリッとした香辛料が独特のアクセントを出していて、肉のうま味をさらに引き立てている。トッピングのレタスやトマトの爽やかな風合いも相まって、食べ進むにつれてどんどん食欲増進! 夏場の食欲があまりない時でも、なんだかチョリパンを食べたら食欲が出てきて元気になれるかも。

ハンバーガー風に紙に包んで大きく口を開けてガブリ

チミチュリソースは瓶入りで販売もしている

しかもこれ、かなりビールに合いそう。でも今日のところはまだまだ仕事があるので「コカ・コーラ」(税込300円)。もちろん、コーラとの相性もバッチリだから、食べて飲んであっという間に完食、大満足。いただきました!

ちなみに、チョリソー(2分の1)を足して食べる「チョリ増し」(税込250円)もでき、ダブルでチョリ増しする女性のお客さんもいるんだとか。我こそはという肉食系女子もぜひ試してみてほしい。また、テイクアウトもでき、チョリパンだけでなくチョリソー単品でもOK。チーズやパクチーなどのトッピングも可能なほか、チーズが入った揚げ餃子風のスナック「エンパナーダ」(1個/税込300円)などのサイドメニューもあり。

追加トッピングやサイドメニューもあり

初体験のチョリパン、食べたことがない独特の食感とソースの味、香りがあり、刺激的でクセになりそう。ひっきりなしにお客さんがやってくるのも納得だ。お客さんは老若男女問わず訪れるそうで、家族連れも多いそう。また、3割くらいが外国人のお客さんで、アルゼンチン出身の方も訪れて「懐かしい!」とおかわりしてくれたり、さらに持ち帰りしてくれたりするそうで好評のようだ。

ランチではミニ・チョリパンのセットもあり、本場アルゼンチンの味を日本で気軽に食べられる「ミ・チョリパン」。なお、金・土の18時以降か、もしくは予約があった際に提供されている「アサード」(アルゼンチンのBBQ、100g/税込800円~)というメニューもあり、大勢でのパーティーにも利用できそうだ。店舗での提供のほか、キッチンカーでの営業やデリバリーも利用できるので、是非みなさんもアルゼンチンのソウルフードを体験してみてほしい。

ガッツリお肉を食べたいときにはアルゼンチンのBBQ「アサード」(100g/税込800円~)もオススメ!

●information
ミ チョリパン
住所: 東京都渋谷区上原2-4-8
営業時間: 月~土 11時~22時
     日・祝 11時~20時
定休日: 火曜、第2、4月曜(祝日は営業)