山形を代表するグルメと言えば蕎麦だが、夏は全国屈指の生産量を誇る「さくらんぼ狩り」が主役だ。最高級品種の佐藤錦も食べ放題で、多額の交通費を掛けても毎年行きたくなる。実は「わらび餅」も絶品で、夏季限定の「かき氷」は、場所によっては最高5時間待ちになることも。そんな山形を代表する蔵王温泉で、山形を代表する夏のグルメを満喫する旅を紹介しよう。

ホテルルーセントタカミヤの露天風呂。蔵王温泉は泉質最高な上に、天然素材を多用した浴場風情も素晴らしい

60分食べ放題! さくらんぼ狩りは寒河江へ

いちご狩りを始めとして、フルーツ狩りには各種あるが、どう考えても一番お得なのがさくらんぼ狩りだ。果実が小さいので無数に食べられる上に、代表的な品種の佐藤錦は「赤いダイヤ」と呼ばれ、1パック数千円もする高級品ときている。それが千円強の入園料で食べ放題なのだから、多額の交通費をかけていっても元がとれるに違いない。

本場・山形の完熟した佐藤錦は、一度食べれば絶対に忘れられず、毎年恒例にしたくなるおいしさ

さくらんぼ狩りは全国各地でできるが、佐藤錦発祥の地で全国の生産量の75%を独占する山形県が本場。同じコシヒカリでも魚沼産が珍重されるように、山形でさくらんぼ狩りをすれば、あまりのおいしさに「流石は本場」と感激するに違いない。

中でもオススメなのが寒河江市。さくらんぼ狩りの食べ放題は30分程度が一般的だが、寒河江市のさくらんぼ狩りは同じ料金なのに、なんと2倍の60分だ。

寒河江市のさくらんぼ狩りは、ネット割引で税込1,300円(税込)。最初に管理センターに行き農園を案内される

寒河江市には国内最大、約300カ所ものさくらんぼ狩り農園があり、受け入れ体勢も完全に整っている。予約も、JAさがえの農園予約サイト「まるかじり さがえ」で一括と分かりやすい。市内5カ所に管理センターがあり、前後の旅行日程を考えて管理センターを選択して予約しよう。バスを利用する場合は市中心部に最も近い、石持原観光さくらんぼ管理センターが便利だ。

温室ではない露地物のさくらんぼ狩りは6月上旬から行われるが、佐藤錦が完熟するのは6月後半なので、その時期が一番のオススメ。風雨で果実が傷まないように、さくらんぼ狩り農園には屋根があるので、梅雨の時期でも快適に楽しめるのも利点である。

●information
石持原観光さくらんぼ管理センター
住所: 山形県寒河江市寒河江下原74-4
アクセス: JR左沢線「寒河江駅」から荒町南・谷地行きバスで総合支庁前下車、徒歩15分(谷地行きは山形駅からも乗車可能)

行列覚悟で! 「幻のかき氷」は雪のような口溶け

さくらんぼ狩りは6月限定のお楽しみだが、山形で夏に絶対食べたいグルメと言えば、腰掛庵の「かき氷」。腰掛庵とは、京都の老舗が君臨する和菓子屋の世界で、京都以外で日本一と評価されているスイーツ好き注目の銘店だ。後述する「わらび餅」で知られるが、夏季限定商品が「かき氷」である。

腰掛庵のかき氷は大行列必至。日傘や日焼け止め、サングラスの用意を

腰掛庵のかき氷は、あまりの人気に5時間待ちになった事もあるという伝説的な商品。その上、人気過熱で本店での販売が中止に追い込まれ、"幻のかき氷"になってしまった。さらに、山寺店を開設して販売再開したものの、やはり人気過熱で販売中止に。2016年に山形県総合運動公園で復活し、ようやく人気を捌(さば)けるようになり、2017年も6月6日から9月初頭まで販売予定だ。

腰掛庵のかき氷は、一番人気の「木いちごとすぐりみるく」(税込780円)が断然オススメ

平日でも1時間程、週末には1時間半以上の行列で、テーマパークのように最後尾に待ち時間の目安を掲示。行列はなかなか進まず、「なぜかき氷に、こんなに時間がかかるのか」と疑問に思ってしまう。

しかし、実際に商品を口にすれば、まるでお皿の上に人工降雪機で雪を降らせたのかと思う程の、魔法のような繊細さで、これなら猛烈に時間がかかるのも仕方ないと納得してしまう。腰掛庵自家製の和風シロップも絶品で、大人気になるのも当然のおいしさだ。

腰掛庵のかき氷は、公園北側のレクリエーションクラブハウスで販売される。月曜定休で、月曜が祝日の場合は水曜が定休日。10時開店で、14時頃には氷がなくなり終了してしまうので、午前中を目指していきたい。

●information
腰掛庵 かき氷販売所
住所: 山形県天童市山王1-1
アクセス: JR山形新幹線「天童南駅」から徒歩15分

腰掛庵に来たならば、やはりわらび餅は食べて帰りたい。そんな、行列ができるわらび餅の魅力とともに、湯めぐりにもってこいの温泉・宿を紹介しよう。