最寄駅のJR羽越本線「鶴岡駅」からはバスで約30分。観光でふらりと訪れるには、ちょっとハードルが高いかもしれないこの地には、ギネスに認定されたこともある「鶴岡市立加茂(かも)水族館」がある。

約2,000匹がそろいもそろってふわふわ(「クラゲドリームシアター」にて)

愛称である「クラゲドリーム館」からも分かる通り、クラゲ押しの水族館である。「クラゲがいっぱいいる! 」というだけではない。「この水族館、本当にクラゲが大好きなんだろうなぁ」という気持ちにさせてくれる仕組みが随所にあるのだ。

「クラネタリウム」でいろんな出会いを

水族館は始め、昭和5(1930)年に「山形県水族館」として誕生。昭和31(1956)年にリニューアルを経て「加茂水族館」となり、2014年に延べ床面積を約2倍にする改築を経て、今に至る。

クラゲたちがエントランスでお出迎え

山形県鶴岡市という土地を反映した展示として、庄内を流れる川や池の淡水魚、庄内浜の沿岸から深海に生息する海水・深海魚をとりそろえ、アシカやアザラシがゆったり泳ぐプールも備えている。食卓でおなじみの魚もおり、つい「おいしそうだな」と眺めてしまうのだが、様々な種類の魚が自然に近い環境で展示されており、これはこれで十分見応えがある。

庄内の淡水魚からスタート

今度は海水魚コーナーへ。「おいしそう」という言葉がもれる

しかし、やはりここではクラゲへの情熱をもって展示を楽しみたい。クラゲに魅せられた水族館は今も進化を続けており、ギネス記録に認定された2012年には約40種類のクラゲが展示されていたが(※ギネスが認定したのは、毒針を持つ30種類のみ)、2016年現在では、最大50種以上ものクラゲが展示されている。

クラゲ展示室「クラネタリウム」ではまず、クラゲの絵が待ち受けている

クラゲ展示室はその名も「クラネタリウム」。黒の壁に照明を落とした空間で、ただただクラゲが優雅に舞う。「シンブルジェリー」のように小さな身体で動き回るものから、「プンクタータ」のようにぼってりと浮遊するものまで多種多様。まさしくプラネタリウムのような、魅惑的な空間だ。

ミズクラゲの一種

ビゼンクラゲの一種

カトスティラス

パシフィックシーネットル

タコクラゲの一種

シンブルジェリー

オキクラゲ

プンクタータ

クラネタリウムではクラゲの展示のみならず、クラゲがどのように増えていくのかを紹介する「クラゲ栽培センター」や、クラゲの餌の食べ方や食べているもの、水分が90%を占めるというクラゲの生態の秘密に迫る「クラゲ解説コーナー」も設置。クラゲと記念撮影を撮るために設けられた「記念撮影水槽」までもある。

黒を基調とした空間でクラゲをじっくり楽しむ

「クラゲ栽培センター」でクラゲ研究

約2,000匹がそろって流れに身を任せる

その中でも一番、魅力的なコーナーは「クラゲドリームシアター」だろう。直径5mの世界最大級の水槽の中で、ミズクラゲが揺らめいている。その数は何と約2,000匹にもなるんだとか。

「クラゲドリームシアター」の水槽の大きさは直径5m

4月30日限定でライトアップ実施中

筆者が訪れた時には反時計回りに回遊していたので、そうした習性があるのかと思いきや、「たまたまですよ。時計回りでふわふわしていることもありますし。クラゲには脳や心臓、血管、目などはないです。ですが、神経とか筋肉とか、生きていくために必要なものは全て備わっているんですよ」と飼育員さん。

「クラゲドリームシアター」の側で、アトランティックシーネットルもライトアップ

ちなみに、日本ではここだけというクラゲが、この水族館に3種類いる。「クリアレイクタコ」「プロカミア」「ルサーナジェリー」と呼ばれるもので、館内でさりげなく展示されている。また、下村脩氏が2008年にノーベル化学賞を受賞し話題になった「オワンクラゲ」もここにいる。このクラゲには傘の縁に蛍光タンパク質(GFP)があり、UVライトを当てると鮮やかな緑色を発光する。歴史の立役者にも是非、熱い視線を注いでいただきたい。

クリアレイクタコ

プロカミア

ルサーナジェリー

鑑賞後はクラゲを"味わう"

この水族館の面白いところは、クラゲを見て、学んで、そして食べられることだ。「クラゲソフトクリーム」(税込350円)はミルク・チョコ・ミックスの3種類、「クラゲアイス」(税込300円)はバニラ・ラムネなど10種類を用意。

「クラゲアイス」(税込300円)。左がラムネで右がバニラ

そして、水族館一の人気グルメは「クラゲラーメン」(税込750円)。これらのクラゲはキャノンボールクラゲやビゼンクラゲ、たまにエチゼンクラゲという食用のクラゲが使用されている。特にラーメンにはキャノンボールクラゲがまるっと入っているほか、麺の中にもクラゲを練りこんでおり、もちもちとした食感が楽しめる。

「クラゲラーメン」(税込750円)には麺にもクラゲを使用

お土産もまた、クラゲ尽くしだ。一番人気は「くらげ入り饅頭」(税込540円/6個、税込1,000円/12個)で、「クラゲラーメン」はお土産として購入も可能だ(税込650円/2食入り、税込1,300円/4食入り)。もちろん、これらのクラゲは食用のものを使っている。

「くらげ入り饅頭」(税込540円/6個、税込1,000円/12個)は文字通りクラゲ入り

「クラゲラーメン」(税込650円/2食入り、税込1,300円/4食入り)はお土産も可能

プニプニしたくなるフォルム

より深くクラゲの世界を知りたいならこちらを

今この瞬間も、クラゲたちはふわふわしている。きっと、何を考えるでもなく、流れに身を任せながら。「時間に追われながらの生活に疲れたな」という大人にこそ、ちょっと力を抜いてこの癒やし空間を楽しんでいただければと思う。

取材協力: きらきら羽越観光圏