相模鉄道は5日、都心直通用新型車両20000系の導入を発表した。日立製作所も同日、相鉄の新型車両受注を発表した。新型車両20000系は相鉄グループの創立100周年に合わせ、2017年12月から営業運転を開始する予定。今年度は7000系の代替として1編成導入される。2022年度下期に開業予定の相鉄・東急直通線の車両として使用されるという。

相鉄の新型車両20000系の外観イメージ。ヘッドライトが特徴的

新型車両20000系は、相鉄グループが取り組む「デザインブランドアッププロジェクト」のコンセプトを反映した初の新型車両で、「安全×安心×エレガント ~目先のトレンドに左右されない『醸成するデザイン』~」をコンセプトに開発された。相鉄にとって9000系以来となる日立製の新型車両で、アルミ製標準型車両「A-train」コンセプトの下、日立製作所笠戸事業所(山口県下松市)で製造が進められている。

デザイン設計は「PRODUCT DESIGN CENTER」が担当。相鉄を象徴する車両をめざし、先頭形状は従来の通勤型車両のイメージを打ち破る立体的でインパクトのあるデザインとなった。外装は昨年登場した9000系リニューアル車両に続き、相鉄線の新たなイメージカラー「ヨコハマネイビーブルー」(濃紺色)を採用している。

新型車両20000系は「ヨコハマネイビーブルー」の外装に

車内は落ち着きのあるグレーを基調とした内装で、時間帯で色調が変化する調色調光式のLED照明も取り入れた。ロングシートの座席は座り心地を改良するとともに、ランダムパターンを施した汚れの目立たない生地を採用している。座席端部の仕切り板は大型化され、ガラス製の仕切りや荷棚、貫通扉などにより、開放感のある室内空間に。ブラインドや相鉄線の特徴でもあった「車内の鏡」も復活するという。

一部の優先席に導入される「ユニバーサルデザインシート」も新型車両の特徴で、立ち座りを容易にするために座席の高さを上げ、座り心地を損ねない範囲で座面を小さくしている。これにより、座席下部へ大型の荷物を収納することも可能となった。

新型車両20000系の車内イメージ。一部の優先席に「ユニバーサルデザインシート」を採用

車いす・ベビーカー用のフリースペースは全車両に設置。相鉄線では初めて「ナノイー」搭載の空気清浄機を導入し、空調効果を高めるため、すべてのドアに「個別ドアスイッチ」を設置する。大画面案内表示器(21.5インチ)はドア上と通路の天井に設置され、デジタルサイネージにも対応。Wi-Fiは全車両で提供される(通信事業者との契約が必要)。非常通報装置を増設するなど、車内における安全・安心のさらなる向上が図られる。

環境にも配慮し、新型素子(SiC素子)を採用したVVVFインバータ制御装置と高効率電動機の併用、室内灯や各種灯火類のLED化などにより、消費電力を低減。密閉型主電動機や防音車輪によって騒音も低減される。車両情報を司る装置はイーサネット方式に。急曲線などでの安全性を向上させる専業メーカー製台車を採用する。

日立製作所笠戸事業所で製造中の新型車両20000系

新型車両20000系は2017年度に1編成を導入した後も、2022年度下期に予定される相鉄・東急線開業まで順次導入予定とされている。なお、2019年度下期に開業予定の相鉄・JR直通線用の車両については「現在検討を進めています」(相模鉄道)とのこと。