ここまでは、バラエティ番組の実績を見てきたが、実はAbemaTVを開いて最初に流れるのは、ニュースの「AbemaNewsチャンネル」である。「帰宅した時などの時間に、なんとなく見てしまう」というサービスを目指すAbemaTVにとって、まずは安心感のあるコンテンツであるニュースを見せ、そこからバラエティやドラマ、アニメなどに移っていく視聴形態を理想の1つとしているためだ。

現在は、テレ朝の『報道ステーション』をはじめとするニュース番組に加え、平日では、昼に『けやきヒル'sNEWS』、夕方に『原宿アベニュー』、夜に『AbemaPrime』という、3つのオリジナル帯番組を編成。小池氏は「この3つの番組を習慣として見てもらえるユーザーが溜まっていけば、AbemaTV全体のすごく大きな武器になると思うんです。いつもつい見てしまうというようなプラットフォームになっていきたいと考えています」と期待をかける。

また、これまでは予定不調和な企画やユーザー間のコメント、ソーシャルの盛り上がりを狙って"生"を重要視した番組づくりを行ってきており、ドラマのオリジナル番組は『特命係長 只野仁』『オオカミくんには騙されない』にとどまってきた。だが、ドラマは、見逃し視聴のニーズが強い傾向にあると確認。この4月から、タイムシフト視聴のサービスを拡充した新機能「Abemaビデオ」の提供を開始しており、「これから必然的にドラマも増えていくと思います。オリジナルドラマ制作にも積極的に取り組んでいきたい」と構想を披露した。

2月には将棋チャンネルを開設し、オリジナル番組で、藤井聡太四段が羽生善治三冠を破るという快挙を達成するなど、新たなスーパースターにも恵まれた。将棋チャンネルは藤田社長の発案で開設されたものだが、「藤田は今、コンテンツの企画や編成などをはじめ、AbemaTVに大半の時間を割いていますね。トップの熱量が現場にも伝わって、すごくいい流れになっています」と、全体のムードを見る。

AbemaTVの編成も担当する小池氏だが、テレビ業界に在籍した経験はないそうで、「テレ朝さんからいろいろ教えてもらったり、他局の編成をみんなで分析したりして、相当研究しています」と明かす。それでも、「もっと工夫するような技がないかというのを、開発していくという状況。まさに試行錯誤しながらやっています」と、さらなる充実化に向けて余念がない様子だ。

藤井聡太四段(左)と羽生善治三冠の対局 (C)AbemaTV