佐藤孝樹
1973年生まれ、宮城県出身。東放学園専門学校卒業後、フジテレビの報道番組制作に携わり、2006年に株式会社エムパを設立。報道ドキュメンタリーを中心にテレビ番組制作を手がける。

ここまで、美容整形によって明るい未来を手にした様子を紹介してきたが、佐藤氏は「もちろん奨励しているわけではないです。僕自身も中1と小6の娘がいますが、やるといったら反対します」と強調する。そのため、「作る中で一番気にしているのは、視聴者に、この子たちにとって、本当に整形が必要なんだということ。これがないと次に進めないほど追い詰められている姿を描いているつもりです」という。

さらに、従来の美容整形を取り上げたドキュメンタリーでは登場することのなかった、手術中に痛む姿や、術後の顔が腫れた状態も映している。「ある意味で衝撃映像になっているかもしれないですが、それを描くことで、魔法みたいに変わるわけじゃないんだということを、きっちり伝えています」と説明した。

また、密着する女性たちに対しては、美容整形という決断を数多く見てきた1人の大人として、忠告を行うという。1つは「整形したことを周囲に隠さない方がいい。自分にウソをつくことになるから、生きるのが苦しくなって、また元の自分に戻ってしまう」。もう1つは、「今回手術して、その後ほかの部分もやりたくなって依存してしまうかもしれない。それだったら、絶対にやめた方がいい」。このように念入りに確認する理由を、佐藤氏は「殻を破るきっかけであればいいだけで、美容整形に固執する必要は全くないと思うんです」と語った。

手術中の様子(左)と術後の腫れた状態 (C)フジテレビ

7日放送の「後編」で密着する馬場汐音さん(23歳)は、性同一性障害だったため、1年前に体も戸籍も女性になった。その過去が分かると、事前審査で落とされてしまうのではという懸念があったそうで、今回の取材をきっかけにして、手術前にカミングアウト。「同じ悩みを持つ人たちの光になりたい!」と、強い決意でランウェイを目指す様子に加え、家族の苦悩や、彼女をバックアップしていく姿も描かれる。

馬場汐音さん(整形手術半月後→腫れが引いてメイクをした姿) (C)フジテレビ

『ザ・ノンフィクション』としては、異例の2週連続企画だが、「1人1人にドラマがあって、しかもそれが軽いドラマじゃないんです。正直描ききれてない部分が山ほどあります」と悩ましい。今回密着した女性たちでも、前向きになって今後社会復帰する人もいれば、結婚する人が出てくることも想像でき、「シリーズができればと思っています」と意欲を示した。

また、取材を通して、「美容整形する本人というより、親御さんの向き合い方を見ていると、自分自身も勉強になります」と、学ぶ部分があったそう。「親子関係が崩壊している姿と修復していく姿が描かれているので、今、こういう時代だからこそ、ぜひ親御さんにも見てもらいたいです」と呼びかけている。

「整形シンデレラオーディション」GirlsAwardステージ (C)フジテレビ (C)マイナビGirlsAward2017 SPRING/SUMMER

ランウェイを歩く様子 (C)フジテレビ (C)マイナビGirlsAward2017 SPRING/SUMMER

(C)フジテレビ