東武鉄道は4月28日、2017年度の鉄道事業設備投資計画と「東武グループ中期経営計画2017~2020」について発表した。今年度は総額345億円の設備投資を行い、新型車両70000系の導入も進める。中期経営計画では「フラッグシップ特急車両の導入」「特急車両の地下鉄乗入れに向けた検討」などが示された。
新型車両70000系は今年6月をめどに営業運転開始予定とされ、東武スカイツリーラインから東京メトロ日比谷線へ直通運転を行う。東京メトロ日比谷線の新型車両13000系と仕様を共通化し、将来のホームドア導入を見据え、片側4ドアの20m車両(7両編成)となった。アルミ製車体に「イノベーションレッド」「ピュアブラック」の2色を施し、車端の戸袋部にアクセントとして「エナジードット」を採用。車内の座席は優先席を除いて暖色系とし、1人あたりの座席幅を広げ、クッション性を改良して座り心地を向上させた。
座席横の仕切りや荷棚、連結面に透明な強化ガラスを採用して開放的な車内空間とし、連結面の妻引戸衝突防止グラフィックとして東武スカイツリーライン沿線の代表的な風景をイラスト化。全車両にフリースペースを設置し、各ドア上部の17インチLCDモニタ3画面で4カ国語表示を行うなど、さまざまな利用者に配慮した仕様となる。新型車両70000系は2019年度までに22編成(計154両)導入予定で、うち10編成は今年度から運用開始となる。
2017年度の設備投資計画では、70000系導入の他にSL「大樹」営業運転開始と下今市駅リニューアル、東武ワールドスクウェア駅の開業、最新式の測定機を搭載した軌道検測車への更新、ホームドア整備(2017年度は川越駅で整備完了、池袋駅・朝霞駅・志木駅で整備着手)などが紹介された。新河岸駅・高柳駅・幸手駅で駅舎の橋上化工事が推進され、西小泉駅・逆井駅・塚田駅・ときわ台駅・若葉駅・北坂戸駅で駅舎がリニューアルされる。北千住駅では商業施設と一体となったリニューアル工事が引き続き推進される。
フラッグシップ特急車両など「輸送サービスのレベルアップ」で価値向上へ
「東武グループ中期経営計画2017~2020」では、長期経営構想にもとづき2020年度までに取り組む具体的な内容が示された。この中で「浅草・東京スカイツリーエリア」「日光・鬼怒川エリア」「池袋エリア」「銀座・八重洲・湾岸エリア」を重点エリアとして集中投資を行い、「ホテル事業の展開」「駅を中心とした拠点の開発」「高品位な暮らしの提供」「輸送サービスのレベルアップ」で沿線価値の向上を図るとしている。
鉄道事業では「輸送サービスのレベルアップ」に向け、利便性・快適性向上のための「フラッグシップ特急車両の導入」「日比谷線直通列車速達性向上の検討」「特急500系の増備」、鉄道ネットワーク拡充による新たな需要創出として「特急車両の地下鉄乗入れに向けた検討」「都心および空港へのアクセス性向上に向けた検討」、春日部駅ジャンクション機能強化などの取組みが進められる。東武グループの持続的な成長に向けた投資を積極的に推進し、企業価値の拡大につなげていくとしている。