リモデル店舗に見るマック新時代

マックの近年の取り組みでは戦略的な店舗閉鎖が世間の注目を集めたが、実は店舗のリモデルも並行して進んでいる。以前はカフェ風の店舗や新型デザイン店舗など、マック目線による店舗展開が主流であったが、最近の店舗改装において最も強く感じる変化は、基本戦略である「QSC+V」(クオリティ、サービス、クレンリネス、バリュー)が効率よく浸透し、機能しているということだ。レストランは食事をするところであるが、以前の店舗は「食事をする環境」にはほど遠かった。

来店客からよく耳にするのは、テーブルやトイレのクレンリネスが向上しているという感想だ。スタッフの見回り頻度が増加するなど、店舗のリニューアルに伴い、マックが大幅に清潔な空間に変わってきたことは私も感じている。

以前とは印象が違うマックの店舗

ネット環境の整備で滞在時間に変化も

また、ネット環境の変化も店舗空間の改善に大きく貢献しているようだ。従来は会員制の公衆無線LANサービス「BBモバイルポイント」のみに対応していたが、このサービスはプロバイダーに料金を支払えば時間無制限でネットに接続できるため、客の滞在時間の長時間化につながったり、滞在客同士が電源コンセントを取り合うなど、来店客に不公平感を抱かせる原因ともなっていた。

2016年に登場した「マクドナルド FREE Wi-Fi」は、この不公平感を見事に是正している。例えば接続時間には1時間という制限があるため、客は自前のネット環境を用意しなければ、店舗で1時間を超えてネットを使うことができない仕組みになった。

店舗環境の変化はそれだけではない。リニューアル後の店舗をのぞいてみると、カウンタータイプの座席が大幅に増加し、電源コンセントはカウンター席の各所に設置されている。4人席の座席が固定されているため、家族連れからはベビーカーを収めるスペースが取れないことについて不満も出ているが、マックの店舗改装が着実に進んでいるのは確かだ。

グラン発表会の冒頭、日本マクドナルド代表取締役兼CEOのサラ・エル・カサノバ氏は、店舗体験の向上について熱く語っていた。味だけでなく、居心地の良い空間と清潔な環境も、マックが掲げるQSC+Vには欠かせない要素となる。

客足が戻り、店舗の改装も進む中で新たな高付加価値バーガーを投入するマック。同社の復活に拍車がかかるかどうかが焦点だが、グランには追い風も吹いているようだ。