先日、ビーフ系の商品としては8年ぶりとなる新商品「グラン」を発表した日本マクドナルド。このハンバーガーからは、業績を回復させつつあるマックが、次の目標として何を成し遂げようとしているのかが見えてくる。
商品戦略の行方は
マックが掲げる今年のテーマは「おいしさ向上宣言」。2017年に入ってから、同テーマに沿って発表された商品を振り返ってみると、第1弾はプレミアムローストコーヒー、第2弾はしょうが焼きバーガーの「ヤッキー」、そして第3弾がクラブハウス、てりやき、ベーコンチーズの3種を揃える「グラン」だ。
グランのキーワードは本格肉厚ビーフとふわふわバンズ。期間限定商品ではなく、レギュラー商品としてメニューに加わった。
マックにおいて、多くの顧客を抱えるボリューム商品として数字を見込める(単価の高い)商品は「ビッグマック」だけだった。同社の業績を見ると、来客数は一定の伸び率を見せており、単価アップが次なる目標となってきそうだ。
ホームページに記載されたメニュー表には、グラン3種とビッグマックが最上段に並ぶ。グランの単品価格は390円と490円。そこには単価を上げたいというマックの思いが見てとれる。
客数の改善が顕著
先ごろ発表されたマックのセールスレポートによると、2017年3月の既存店売上高は前年同月比16.5%の増加。売上高もさることながら、その売り上げに大きく貢献したと思われる客数の伸び率は同12.2%増だった。
マックにとって2015年度1~3月期は思い出すのもつらい時期であったことだろう。客数に注目すると2015年1月は前年同月比28.5%減、2月は19.1%減、そして3月は23.5%減である。
戦略的店舗閉鎖など、負の遺産を清算し終わったとされる2017年1月の客数は前年同月比11%の増加。2月は10.5%増、そして3月は12.2%増と連続して2桁の伸びを達成した。昨年と比較した場合、3月の伸びについては「ギガベーコンてりたま」という季節限定のニューフェイスが来店客の増加に大きく貢献したとみることができる。数字を見る限り、マックは反転攻勢に入っているようだ。
そして登場したグラン。ここ数年は、新商品といっても「味付けを多少変えただけ?」「はさむ具材の組み合わせを変えただけ?」という商品が多かったが、グランは久しぶりの新商品と呼べそうな仕上がりである。