JR貨物は13日、2016年度の輸送実績を公開した。昨年度は4月の熊本地震、6~9月にかけて相次いだ台風などの影響で、運休となる貨物列車が前年度より増加。中でも8月下旬から9月上旬にかけて接近・上陸した台風10号は北海道地区に甚大な被害をもたらし、この影響で農産品・青果物の輸送実績が前年を大きく下回った。

JR貨物の2016年度輸送実績は前年を上回ったが、品目別では農産品・青果物などが前年を大きく下回る結果に

同社の発表によれば、昨年度は「高速貨1,447本、専貨30本が運休」したとのこと。前年度は「高速貨1,095本、専貨17本が運休」しており、2016年度の運休本数は2015年度より365本増えたことになる。北海道地区では8月下旬以降に相次いで接近・上陸した台風の影響で不通となった区間が多く、石勝線・根室本線では12月22日の運転再開まで、トラック・船舶による代行輸送が行われた。

品目別の輸送実績を見ると、農産品・青果物が2015年度の213万7,000トンに対し、2016年度は196万9,000トン、前年比16万8,000トン減と大きく落ち込んだ。JR貨物は「上期の九州地区での玉葱の生育不良」「下期の台風10号の影響を主因とした野菜類・馬鈴薯の減送」「民間流通米輸送が低調に推移」などを理由に挙げている。北海道地区からの馬鈴薯の減送による影響は大きく、4月10日にはカルビーが「馬鈴薯不足に伴う『ポテトチップス』商品の休売及び終売」を発表する事態となった。

JR貨物の2016年度輸送実績では、農産品・青果物に加えて紙・パルプも前年比12万1,000トン減(2015年度325万4,000トン、2016年度313万3,000トン)となっており、「印刷紙・コート紙の需要の落ち込みにより減送となった」と説明している。

一方、下期の自動車販売台数増加にともない自動車部品が増送となったほか、飲料を中心とした食料工業品や積合せ貨物がトラックドライバー不足を背景に堅調に推移。11月に関東地区で記録的に早い積雪を観測したこともあり、冬季の気温低下で灯油を中心とした石油が増送となり、前年比15万1,000トン増(2015年度579万4,000トン、2016年度594万5,000トン)となった。コンテナ・車扱を合計した2016年度輸送実績は3,093万8,000トン。前年度(輸送実績3,077万7,000トン)より16万1,000トン上回った。