本稿では女性と子どものてんかんに焦点を当ててきたが、最後にすべてのてんかん患者に知っておいてほしい「てんかんと上手に付き合うためのポイント」を福島医師に解説してもらった。

日常生活において注意する点はいくつかあるが、最も重要なのは「薬をきちんと飲み続けること」だという。薬の特徴や副作用を十分に理解しておくことも同様だ。

過度のストレスや寝不足は発作の誘発因子のため、規則正しい生活をし、十分な睡眠をとることが発作予防の観点からは大切である。また、過度のアルコール摂取やチカチカするような光刺激も、発作を誘発する可能性がある。そのため節酒を心がけ、テレビを見たりゲームをしたりする際は、必ず部屋を明るくするなどの工夫が必要である。

いずれも、普段からのちょっとした心がけで実施できることばかり。そのうえ、規則正しい生活や十分な睡眠などは、発作予防だけではなく健全な心身作りにも寄与する。そういった面からも、これらの決まりごとを遵守しない手はないだろう。

てんかんはコントロールできる

てんかんは自身の意図しないタイミングで発作が起きるときもあり、その発作は病気の罹患を知らない人からすれば、奇異に見える場合もある。それでも、中には治療をしやすいタイプのてんかんもあり、発作を抑えることもできる。そのため、福島医師は「てんかんは不治の病ではなく、コントロールも十分可能です」と力を込める。

てんかんを患っていても、医師の診断書があれば運転免許証も取得できるし、女性ならば妊娠・出産という道を選べる。症状に対して正しい知識を持てれば、健常者と同じように人生を謳歌できる以上、人生における選択肢を自ら狭めるようなことはしないでほしい。

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記事監修: 福島崇夫(ふくしま たかお)

日本大学医学部・同大学院卒業、医学博士。日本脳神経外科学会専門医、日本癌治療学会認定医、日本脳卒中学会専門医、日本頭痛学会専門医、日本神経内視鏡学会技術認定医。大学卒業後、日本大学医学部附属板橋病院、社会保険横浜中央病院や厚生連相模原協同病院などに勤務。2014年より高島平中央総合病院の脳神経外科部長を務める。