広島電鉄はこのほど、国土交通大臣宛に鉄道事業・軌道事業の旅客運賃上限変更認可申請を行ったと発表した。認可されれば8月1日から改定運賃となり、鉄道・軌道ともに現行運賃より20円値上げされる予定だ。

広島電鉄は電車運賃の改定により、市内線・宮島線ともに20円値上げされる

同社は広電西広島~広電宮島口間を結ぶ宮島線(鉄道区間)16.1kmと、広島市内を走る市内線(軌道区間)19.0kmを営業。交通手段の多様化や広島市郊外への大型店舗進出にともなう買い物客の減少などを要因に、輸送人員は1995年度をピークに減少傾向にある。

その一方で、高齢化社会に合わせた超低床車両の導入や駅・電停のバリアフリー化など、設備面での投資に多大な費用を要してきた。今後も2019年度までに超低床車両を宮島線で6編成、市内線で4両導入する計画があり、これだけで24億円あまりの出費が見込まれるという。他にも電停のホーム拡幅や上屋の延長、車両中扉へのICカード降車読取り機の設置、全国相互利用ICカードの利用受け入れなどの設備投資を計画していることから、「経営の健全化を図るため」として運賃の改定を決めた。

申請通りに改定されれば、鉄道の初乗り運賃は現行の120円から140円に。軌道区間においては、白鳥線が110円から130円、それ以外の区間(本線)は160円から180円にそれぞれ値上げされる。定期運賃も、宮島線の通勤定期(3kmまで)が現行の4,320円から5,040円に改定される。市内線では、白鳥線通勤定期が現行の4,360円から5,150円、本線の通勤定期が6,340円から7,130円にそれぞれ値上げされる。

広島電鉄の推定によれば、運賃の改定を行わなかった場合は2017年度からの3カ年で年間平均7億8,800万円の赤字を出すが、運賃改定によってこれを1億5,200万円にまで圧縮できるという。