「時代も変わったな」という印象

――見ていての率直な感想として『おそ松さん』を思い起こすところもあったりするんですよね。

確かに男子6人がひとつ屋根の下で暮らしていて、喧々諤々としてても仲良しっていうのは、通じるところはありますね。もちろん、目指しているわけではなかったんですけど、テレ東の深夜帯に放送しているという共通点もありますし、盛り上がってくれたのはうれしいですね。結果、『おそ松さん』と『バイプレイヤーズ』のコラボも実現しましたし。

両番組のコラボポスターが3月7日~12日の間掲出される

――企画当初はどの視聴者層をターゲットにしていましたか?

いつもは自分が担当するドラマって男性の30代、40代の人が見ている傾向があるんですけど、今回はSNSなどで女性が本当に盛り上がっていて驚きました。50代、60代の男性に対して「かわいい」「萌える」っていう文化は、遠藤憲一さんの言葉を借りると「時代も変わったな」と思いますね。

――当初はこういう反響は、考えてなかったんですか?

6人の仲の良い感じや、中学校の部活的なノリは、「女性にも微笑ましく見てもらいたい」と思いはあったんですけど、『おそ松さん』的に刺さるとは思ってなかったです。この6人を男性アイドルグループのようにとらえてくれる人がいるのかもしれませんね(笑)。

――男性アイドルグループですか(笑)。第5話でもダンスをするシーンなんかもあったりして。

あのシーンに踏み切るまでには、いろいろあったんですけどね。やっぱり、僕らは女性視聴者が喜んでくれるなら、そっちの要素も入れようと、ついついスケベ心を出してしまうんですけど、俳優の皆さんは「狙った瞬間に寒いものになる」という危機感が明確にあるんですよね。

「神回」と反響があった第5話

――刺さるからといって媚びたら冷めてしまうというのは、すごく視聴者としてわかるんですが、演じられてる方がそれを感じているってすごいですね。

やっぱり、30代後半とか40代で「シネマ下北沢」で特集上映をしてから15年も第一線で全員が活躍し続けている証拠ですよね。作品選びから、その作品での立ち位置も含めて、信念を持っているんだと思いました。セルフプロデュースの感覚が研ぎすまされている。

NGが少ないから早く終わる

――撮影をしていても、6人の皆さんすごいなーと思うところはありますか?

みなさん早く撮って早く飲もうぜっていつも言っているんですけど、それはNGが少ないから言えることなんですよね。普通、年齢とともにセリフ覚えも悪くなることもあるのに、テンポが早くてセリフの多い会話劇でも、NGを出さずに演じてしまう。すごいスキルだと思います。

それに、この虚実ないまぜのドラマにおいて本人役を自然に演じる力がすごいです。第2話で遠藤さんと松重さんがケンカするシーンで、遠藤さんが台本の台詞通り「アドリブしてごめんねー」と言ったのが自然すぎて、監督が「大丈夫でーす」と撮影中に返事してしまったことがありました(笑)。

――これだけ反響があったということで、またやりたいなという気持ちはありますか?

この魅力的な6人の俳優にまた集まってもらいたいという思いはもちろんあります。ただ、今回の作品は今回でやりつくせたと思うし、やるなら単なる続編にはならない、やっぱりテレ東って面白い! そして、この6人ってすごい! と思ってもらえるものにしたいですね。

(C)バイプレイヤーズ製作委員会

<著者プロフィール>
西森路代
ライター。地方のOLを経て上京。派遣社員、編集プロダクション勤務を経てフリーに。香港、台湾、韓国、日本などアジアのエンターテイメントと、女性の生き方について執筆中。現在、TBS RADIO「文化系トーラジオLIFE」にも出演中。著書に『K-POPがアジアを制覇する』(原書房)、共著に『女子会2.0』(NHK出版)などがある。