歌手で女優の西内まりやと、ロックバンド・flumpoolの山村隆太が共演するフジテレビ系月9ドラマ『突然ですが、明日結婚します』(毎週月曜21:00~21:54)の配信サービスが好調だ。視聴回数は、それまでトップだった桐谷美玲主演の月9『好きな人がいること』(2016年7月クール)を超え、第5話の配信まで過去最高ペースで推移しているという。

その要因は何か。動画や電子書籍などの配信サービス「FOD」(フジテレビオンデマンド)を担当するコンテンツ事業局の野村和生氏に話を聞いた――。

野村和生氏
1974年、北海道生まれ。1997年にNTTドコモに入社し、ワンセグなどを担当。2005年にフジテレビジョンに入社し、CS放送の編成などをへて、2012年からフジテレビオンデマンド(現・FOD)を担当。

FODでは、放送後の番組を7日間無料配信する「+7(プラスセブン)」サービスを展開。番組別の視聴回数を見ると、同局の看板枠である"月9"が、毎クールトップに立っているが、現在放送されている『突然ですが、明日結婚します』は、第5話まで過去最高ペースで推移している。これは、SNSのフォロワー数が同局ドラマ史上最多の167万超を記録した『好きな人がいること』をも上回っていることになる。

要因の1つとして考えられるのは、「少女コミック原作の作風やキャスティングが、とりわけ若い女性に刺さっている」(野村氏)ということ。視聴回数の伸びは、この層が引っ張る傾向があるそうで、今作のユーザー属性を見ると、女子高生や女子大生らで構成される17~22歳の女性だけで、全視聴の25%を占めている。

過去の作品も、この層の視聴割合は高いが、今回の場合は特に顕著で、野村氏は「自分たちの世代からしたら、あんなタワーマンションなんか住めないなんて思っちゃうんですが、夢を持っている若い子にとっては、ああいうシチュエーションがグサグサ刺さるのでは」と分析。今回のセットは"憧れ"をテーマにデザインされているが、その狙いがターゲットには的中しているようだ。

ちなみに、第5話配信の平均視聴時間は平均27分(全体で46分)で、53%のユーザーが最後まで視聴しているといい、これも極めて高いスコア。視聴デバイスは、スマホとタブレット端末を合わせて、9割を超えている。

『突然ですが、明日結婚します』の配信視聴者属性

そして、もう1つの要因は、「+7」の認知度上昇。2015年1月にサービスを開始したが、番組内での告知や屋外広告といったプロモーション施策、そして、各局の同様のサービスを横断する「TVer」の提供開始(同年10月)の影響もあり、視聴回数はクールごとに伸びてきているという。

それに加え、SNS上での情報交換も存在として大きいようで、視聴時間帯は、リアルタイムでの放送直後が最も多いとのこと。現在のサービス認知度は20~40%程度だといい、野村氏は「まだ6割は認知してないと考えて、伸びしろがあると思っています」と期待を込める。


FODでは、シェアハウスで暮らす男女の恋模様を追うリアリティ番組『テラスハウス』も多くの視聴回数をマーク。この成功を受け、かつて地上波で放送されていた、男女7人がワゴン車で旅をしながら恋愛模様を繰り広げる『あいのり』の新シリーズが制作されることも決定している。"月9"の傾向も含め、FODでは恋愛関連コンテンツの人気が「特に顕著」(同氏)となっているようだ。

『突然ですが、明日結婚します』のメイン視聴層である女子高生・女子大生は、まだパケット通信料の制約がある中で、動画を視聴する人が多いと推測される。今後、このパケットがさらに安価になることで、野村氏は「もっと若い子が見てくれるかもしれないですね」と、さらなる利用シーンの拡大を展望している。

『突然ですが、明日結婚します』(フジテレビ系、毎週月曜21:00~21:54)
「専業主婦になりたい女」と「絶対に結婚したくない男」という価値観の会わない2人が、次第にひかれ合う姿を描くラブコメディ。
(写真左から)中村アン、山村隆太、西内まりや、沢村一樹、山崎育三郎