店舗閉鎖の費用的負担は

今回の決算内容では、前期と大きく異なった部分がある。店舗閉鎖にかかる経費の計上だ。前期まで戦略的に店舗閉鎖に取り組んでいたことはIR情報からも読み取れる。通常の閉鎖と合わせると、前期は153の店舗を閉めている。この経費は意外に大きな金額だった。

ちなみに、店舗の閉鎖にはプラスの側面もある。その1つが店舗の賃貸借契約時に預託する敷金の返還だ。マックの店舗は、そのほとんどが賃借物件である。個人の賃貸借契約でも敷金は発生するが、店舗物件であれば、敷金の金額は膨れ上がるケースがある。これが一部であれ戻ってくる。プラス面の2つ目は、店舗を維持するために必要なイニシャルコストが発生しなくなることだ。ともあれ、店舗の戦略的閉鎖にコストがかかるのは間違いない。

今期の戦略的店舗閉鎖はどうかというと、決算短信を見る限り、今期は関連費用が発生しないようだ。戦略的閉店は2016年でほぼ完了したという。

店舗戦略としては、昨年末の2,911店舗をおおむね維持するらしい。新規開店は10~15店舗、閉店は20~30店舗、そして店舗改装は350~400店舗での実施を計画している。閉店は主に、店舗の賃貸借契約終了に伴うものと説明があった。

戦略的閉店はほぼ完了した

2017年12月期における業績予想は全店売上高4,580億円、連結営業利益90億円、連結経常利益85億円としている。既存店の売上増を5%と控えめに見積もりながらも、かなり強気の数字に見て取れる。

不採算店舗の閉鎖が業績にプラス

異物混入事件を受け、一時は客足が遠のいていたマック。顧客としては、行きたくとも行けなかったというのが妥当な見方ではないだろうか。

戦略的店舗閉鎖の影響により、駅前や街中で、マックがある普段の風景が変化したことは記憶に新しい。ある店舗は、ドトールコーヒーショップなどのカフェ業態に転換した。また、全く異なる業態に転換した店舗もあった。“マックロス”なる言葉も生まれた。

マックの決算発表は、13カ月以上営業している店舗の数値を基準にしている。このことは、戦略的店舗閉鎖が終わって14カ月以上が経過すれば、不採算店舗のマイナス影響がなくなるため、業績が落ち着いた水準になることを意味する。

数年前までの業績には、営業を継続していた不採算店舗の数値が含まれている。2015年1月の業績は大きく落ち込んだが、その数字は当時のマックの窮状を如実に表していた。

不採算店舗を整理したら、数値が上向いた。これは自然な結果であり、上向かなければ店舗閉鎖という戦略が機能していないことの証左ともなる。決算を見る限り、またカサノバ氏の説明でも補足された限りにおいては、現在営業している店舗においては、各種問題を起こした以前の水準にまで売り上げは回復してきているようだ。

様々な施策の効果もあり、以前の勢いを取り戻しつつあるように見えるマック。今期も好調を維持できるかが今後の焦点だ。