手続き作業で約1カ月間は休み返上

例えばあなたのご両親が要介護認定を受けられそうだ、という話になったとします。まずは住民票のある市区町村の介護窓口か、福祉事務所で申請を出します。その後、どれくらい助けが必要かを調べる調査員が自宅や施設などへ派遣され、介護の対象となる方を確認し審査が行われます。さらにかかりつけ医へ連絡し、「主治医意見書」という書類を作成してもらいます(主治医がいない場合は、市区町村の指定医の診察が必要)。

審査判定が終わると、「○○さんは要介護3です」といったように、ランクによってどれくらいの金額やサービスを支援してもらえるかが決まります。

この準備でまず、約1カ月間は自分の休日がなくなると思ってください。会社勤めの方は恐らく、追加で何日か休みを取ることに。介護保険を申請する流れになったら、まずは自分の勤め先へ相談して、休むかもしれないことをあらかじめ連絡しておきましょう。

自宅や施設などでの認定調査では、当人がつい「お客さまがいらしたから」と頑張ってしまい、もっと支援が必要なのに軽い認定になってしまうケースもあります。この日のために普段の様子を撮影して見せたり、トイレ介助など本人が恥ずかしがることは別途メモで渡したりするなど準備をしてください。

さらに主治医意見書は、できるだけご本人と付き合いが長い医師に書いてもらいましょう。調査員が1回で判断するよりも、長い付き合いのある医師の判断が重要視されることもあります。可能であれば、意見書を書いた経験が多い方へお願いできるとベストです。

介護保険、意外とやってくれないこともある

先ほど「至れり尽くせり」かのように説明した介護保険制度ですが、国の制度であるため、良くも悪くもできること・できないことが明確に分かれています。

例えば、祖母の家にある庭の掃除はサービス項目から外れていました。しかし庭が荒れた結果、「いかにも強盗が入れそう」な雰囲気に……。結局は家族が定期的に通って、草取りをしたり、業者に木の手入れをお願いしたりして対応しました。その他にできないことでトラブルになりがちなのが、犬の散歩。ペットは親戚で引き取るなどの話し合いが必要です。

"介護保険を受けられるからもう安心"とはいきませんが、困っていたことをほとんど解決してくれる制度であることは確かです。簡単に手続きできるよう、各自治体でマニュアルも整いつつあります。まずは市区町村の介護窓口へ相談してみてくださいね。

※本コラムは個人の体験や取材に基づくものであり、医療的な効果などを示唆・保証するものではありません
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著者プロフィール: トイアンナ

外資系企業で約4年勤務。キャリアの一環としての消費者インタビューや、独自取材から500名以上のヒアリングを重ねる。アラサー男女の生き方を考えるブログ「トイアンナのぐだぐだ」は月間50万ページビューを記録。現在もWebを中心に複数媒体でコラムを連載中。