声優・楠田亜衣奈のバースデーイベント「さんくっすんBIRTHDAY~レベル28」が2月1日、東京・Zepp Tokyoにて開催された。昨年に続いて誕生日当日に開催されたバースデーイベントは、彼女の今後1年の活動を、よりわくわくさせてくれるような、楠田の挑戦がてんこ盛りのものとなっていた。

「さんくっすんBIRTHDAY~レベル28」

会場に入ると、ステージはまるでRPGの世界。宝箱や城、森を模したオブジェに加え、「ウェルカム・フューチャー」のMVに登場したようなブロックも。そして開演を迎えたところで、ステージ奥スクリーンに映し出された映像もまさにRPGで、"ぼうけんのしょ"を選択するところからスタート。Lv.27の勇者・くっすんの冒険が再開される。

イベント前半はまさしくその世界観を反映した、楠田自身が原案を考案した"BIRTHDAY QUEST"という筋書きのもと展開。昨年9月に楠田が出演した舞台"ESORA"で共演したファーストサマーウイカ(踊り子・ウイカ役)や笹岡幸司(チビ大臣役)などを交えての冒険物語だ。ナレーションで世界観が説明されると、女勇者・くっすんが登場。「みんな、行くよー!」のひと声とともに、「POWER FOR LIFE」で景気よく"冒険の続き"をスタート。笑顔でステージを始めながら、随所でステージ端のお立ち台に登ってファンと視線を交わすことも忘れていなかった。

曲明け、チビ大臣からの「姫様がさらわれてしまったんじゃー!」との言葉を受け、魔物・ダマクラカースに乗り移られて姫をさらったマッスル王子のもとを目指し、早速旅に出発するくっすん。最初に出会ったウイカとは、何を尋ねても「勇者くっすん、ここはアイーナ国よ」と答えられるという"RPGあるある"を再現したのち、ふたりでダンスバトルタイムを展開。ダンスを通じて魔物を倒す魔法を会得することに成功した。その魔法で魔物を倒すためには、3曲分の歌のエネルギーが必要……ということで、ふたりとともに旅に出発しつつ、「ハルイロレジュメ」を披露。この曲の"新生活"というテーマも、ストーリーともしっかり噛み合っている。さらに「いくよ!」の声から、「進化系HEROINE」も続けるくっすん。テンポも速くデジタルテイストなこの曲では、軽快なサイドステップなどを中心に彼女のキレあるダンスが映えた1曲となった。

勇者と姫と、一人二役のステージ!

するとステージにはマッスル王子とザコが登場。バトルを展開するのだが、その殺陣の仕上がりぶりが本格的。イベント内の寸劇にも関わらず、全力投球だ。そしてバトルも佳境に差し掛かったところで必殺技を放つくっすんだが、フルチャージでなかったためか跳ね返されて敗北。仲間ふたりは連れ去られてしまう……。 そんなストーリーに沿うように、凍てつく吹雪のような情景を想起させる「Snow Breath Celebration」を披露。ここではダンスより歌声にパフォーマンスの軸足を置き、凛と歌う。そこから再び「Heart's cry」で会場を盛り上げていき、観客もくっすんの耳あてポーズに呼応してコールを響かせたりと、勇者を後押ししていく。 曲明けには、再び現れたザコや王子と再度殺陣を展開。仲間ふたりが時間を稼ぐ間に「ウェルカム・フューチャー」で最後のチャージ。会場からのエネルギーを受けて、実際彼女の歌声自体も非常にノッていたように感じられ、サビラストの「約束」でキメながらかわいさを見せた点や場内への煽り方など、要所要所の魅せ方の光る1曲にもなっていた。そしてエネルギーチャージを完了させたくっすんは、王子の身体から魔王を追い出し魔法で倒すことに成功。"BIRTHDAY QUEST"はハッピーエンドに終わった。

エンドロールののちに「勇者くっすんのレベルが28にあがった!」とメッセージが表示されると、今度は姫の衣装で楠田が登場。「みんなありがとう! いくよ!」の言葉とともに、「まいにち誰かのハッピーデイ?」で後半戦をスタートさせる。曲中のコールも予習復習(※筆者注:この日の客入れBGMではこの曲がヘビロテされていた)バッチリのくすサポ(=くっすんサポーター。ファンの総称)が思いっきり盛り上げ、その光景を目にした楠田の表情も、この場の誰よりもパッと明るいものであり、間奏のコール部も「今日は? くっすんの?(楠田)」「誕生日、おめでと!(観客)」と、この日ならではの掛け合いが見事に成立。そこから連なる「いぇい!」でのジャンプも、彼女のテンションを反映した打点の高いものとなっていた。さらに今度はパラソルを片手に、ウキウキ散歩するようなナンバー「JUMP UP」を披露。それでいて、胸にハートを作るようなわかりやすいフリをはじめとして、ステージ上での立ち居振る舞いのすべてがとにかく愛らしい。2サビ明けにおもむろに城の最上段まで登り、なんと間奏やアウトロで華麗にタップダンスをキメた。のちのMCで「10年ぶりぐらいにやった」「あの部分だけだったのに、3時間もかかっちゃた」と明かす楠田。そんな苦労を感じさせず、堂々とパフォーマンスに織り込んでしまう彼女の内面の強さを感じた瞬間だった。