JR北海道と鉄道・運輸機構は8日、青函トンネルの先進導坑の一部箇所に変状が発生し、対策としてロックボルトによる補修工事を行うことを明らかにした。

青函トンネルを含む新幹線・在来線の共用走行区間を走る北海道新幹線H5系

先進導坑は地質の確認などのため、本坑に先駆けて掘削されたトンネルで、現在は青函トンネル内の排水・換気の役割を担う。青函トンネルでは1988年の開業以来、JR北海道と鉄道・運輸機構がトンネル内空形状の計測・監視を継続しており、2014年頃、吉岡先進導坑(2k070m付近)において盤ぶくれ(トンネル内の路盤が隆起する現象)が確認されていた。トンネル周辺の地盤が弱い場合、トンネルのコンクリートに大きな力が作用し、盤ぶくれや内空断面の縮小などの変状が生じるという。

吉岡先進導坑で変状が確認されたことを受け、JR北海道と鉄道・運輸機構が検討を行った結果、ロックボルトによる対策工事を行うことになった。トンネル内からロックボルト(棒状の鋼材。長さ・本数は現地の状況による)を打ち込み、周辺地盤と一体化させることでトンネルの強度を上げる。対策工事の完了後も継続して監視を続けるとともに、将来にわたりトンネルの安全を確保するため、調査・測定の結果に応じて適切な時期にロックボルトなどによる大規模な修繕を行い、トンネルの延命化を図るとしている。

なお、JR北海道によれば「列車が走行する本坑には対策を必要とする変状は確認されておりません」とのこと。ただし、先進導坑や作業坑では盤ぶくれの他にコンクリートの剥落なども発生しており、「これらの変状についても、鉄道・運輸機構と費用の負担を含めて対策を検討します」とJR北海道は説明している。