極寒の地で愛されている山形県・庄内名物「寒鱈汁(かんだらじる)」、地元の人たちが「寒ければ寒いほど、おいしさが増す」とうれしそうに語るご当地グルメだ。そんな寒鱈汁をおなか一杯楽しめるイベント「日本海 寒鱈まつり」が1月15日、山形県鶴岡市で行われた。"最強寒波"とも称された寒波が襲来した最中に行われた同イベントは、より一層、訪れる人たちを温かくしてくれた。

「これ食べたらすぐあったかくなるから~」(写真は「本間鮮魚店」のブース)

寒鱈をまるっと味わう

そもそも寒鱈汁とはどのようなものか。冬の日本海で獲れた真鱈の内、特に寒の内に獲れる鱈を「寒鱈」と称するが、寒鱈の切り身や頭、胴骨、腸、エラ、白子、そして、鱈の大きな腹の中にある脂ののりきった肝臓(アブラワタ)までの寒鱈丸ごとを、味噌や酒、酒かす、塩、などで味を調え、長ネギや岩のりなどを加えて仕上げたもの。この寒鱈汁は"どんがら汁"とも呼ばれている。

白子が入っているもの・入っていないものなど、食材もそれぞれ(写真は「佐藤食品」の「寒鱈汁」)

アブラワタはフォアグラやアンキモなどと並ぶ珍味であり、"たらふく食べる"はここから生まれた言葉だ。寒鱈で用いる部位は店や家庭によって異なり、また、豆腐や大根を入れたり、さまざまな味噌をあわせたりと、味わいはそれぞれ。湯気立つ寒鱈汁は冷えた身体に染みわたり、自然と顔がほころんでしまう。

大きな鍋から湯気がもくもく、もくもく

どこでも1杯600円! シェアして食べ歩きも

そんな寒鱈汁を1杯600円で食べ比べができる寒鱈まつりは、2017年開催で29回目を迎えた。実はお隣の酒田市でも1月28,29日に寒鱈まつりを開催するのだが、このイベントは山形県が地元の食文化を広く伝えるべく展開したのが始まりだとか。

鶴岡では2017年、29回目の開催となった

酒田市の寒鱈まつりはいくつかのエリアに分かれて開催するイベントだが、鶴岡の寒鱈まつりは鶴岡のメインストリートである商店街「鶴岡銀座商店街」が会場となり、2017年開催では500m続く商店街の通りの中に24ブースが出店した。この鶴岡銀座商店街では寒鱈まつりのほか、春にはパンまつり、夏には夏まつり、秋には秋まつりと、季節ごとにイベントを実施している。

鶴岡銀座商店街では、四季に合わせてイベントを実施。冬はこの寒鱈まつりの季節

寒鱈まつりでは寒鱈汁のほか、地元・鶴岡や山形県のグルメ、近隣の新潟県や秋田県などのグルメもそろう。グルメの種類は、その場で食べられるB級グルメやスイーツ、寒鱈やカニ、銘菓などと豊富。現金購入も可能だが、会場内の券売所で1,200円分のチケットを購入すると、地元グルメなどが当たる抽選券が1枚付いてくるのでちょっとお得だ。

チケットを購入すると抽選が1回できる。ちなみに筆者はこのチケットで、2等の「寒鱈賞」(鶴岡地酒または銘菓)が当たった!

グルメブースの出店条件は「寒鱈汁を提供すること」。どの寒鱈汁も同じものはなく、根菜が入ったもの、白子が入ったもの、岩のりが入ったものとさまざま。ひとり大体1~2杯食べるのが通常のようだが、家族や友人などと一緒に訪れてシェアしている姿を多く見かけた。

寒鱈まつりに来場する約7割は、鶴岡やその周辺地域の地元民とのこと。「子どもと一緒に来たのはこれで3回目。寒鱈汁もそうだけど、いろんなグルメが楽しめるのもいい」と話す人もおり、地元の人たちがいかにこのまつりを楽しみにしているかが分かる。

「寒鱈汁は好き? 」と子どもに質問したところ、はにかみながら「うん」と答えてくれた

会場でパンを販売している「アル・ケッチァーノ・地ぱんgood」でもここではアルケ風寒鱈汁を、寿司屋の「だるま寿司」でもお寿司とともに寒鱈汁を提供している。「あれ? 『鶴岡菓子組合』や『謹栄堂』『遠州屋』などのスイーツを提供しているブースには、寒鱈汁はないようだけど……」と思って聞いてみたところ、第1回から連続出店しているブースは例外とのこと。

「銀座女性の会」もまた、初開催から連続29回目の出店だ

他にも、「早坂食品」「郵便局」「鮨商組合」「魚市場青年部」「銀座女性の会」「本間鮮魚店」「佐藤食品」は、第1回から出店している"皆勤賞"のブース。もちろん、これらのブースでも自慢の寒鱈汁を振舞っているところもあり、特に魚市場青年部の寒鱈汁は行列ができるほど人気だ。

寒鱈汁の季節はまだまだ続く

会場ではブース出店のほか、公益文化大学太鼓部の披露やJAZZの演奏、新潟・秋田のご当地クイズ、一足先の豆まき大会など、さまざまなイベントも実施。また、酒樽に入れてお神酒を無料振る舞いするあたり、さすが酒どころ・山形県である。例年、寒鱈汁は2万杯程度がみんなのおなかに納まっているとのこと。

公益文化大学太鼓部が披露

お神酒はご自由に

お護符として鶴岡銘菓「いなり面」もご自由に

会場の鶴岡銀座商店街へは、JR羽越本線「鶴岡駅」から徒歩20分、もしくは市役所前までバス10分+徒歩5分だが、寒鱈まつりの実施日時には市役所前=会場の間で無料シャトルバスを運行。また、寒鱈まつりの日には有料・無料の駐車場が会場周辺に用意される。鶴岡での寒鱈まつりはまた1年後だが、1月28,29日には酒田市で開催されるので、「1年待ってらんない! 」という人は酒田の方に行ってみるのもいいだろう。

JR鶴岡駅から車で約10分のところにある「Zupperia 庄内藩 しるけっちぁーの」。12月中旬~2月中旬には、「寒鱈汁セット」(寒鱈汁、寒鱈の卵の醤油漬け、庄内米のごはん、おつけもの/950円)もメニューに加わる

また、寒鱈汁はこのまつりの他、12月中旬~2月中旬の間は周辺地域の飲食店や旅館などでも寒鱈汁は振舞われている。ぜひ、寒ければ寒いほどおいしさが増す北のご当地グルメで、温かくておいしい冬を楽しんでいただきたい。

大きな寒鱈の身がゴロゴロ

「鱈のフライ」(1パック500円)

「寒鱈子やきそば」(1パック300円)

「月の雫のあんぱん」(ひとつ170円)

「メガ盛りクレープ」(500円)

寒鱈まつり限定「寒鱈(練切あん)」(400円)

「つや姫クッキーシュー」(ひとつ100円)

「つや姫だんご」(1本300円)

「とち餅」(ひとつ100円)

だだちゃ豆珈琲は300円

「弁慶飯」(ひとつ200円)

「海鮮蒸し寿司」(1,000円)

「あんこう鍋」(600円)の用意中

「おもち入り山形地鶏の雑煮」(600円)

「ホタテ焼」(ひとつ350円)

さつま揚げたち

「石巻焼きそば」(300円~)

紅ずわい蟹たち

「窪畑のカレーバーガー」(540円)

顔ハメ看板で記念撮影中

ガチャピンも頑張る

※価格は全て税込
取材協力: きらきら羽越観光圏