しつこい人が多い

――「池の水を抜くだけで2時間」ということですが、やはり2時間だから生まれる番組の面白さというのがありますか?

池の水を抜いて何が出てくるのか、10分で作ろうと思えば10分で作れるんですけど、2時間作るとなると、そこに関わっている人にどんな思いがあるか、しつこく取材していくことになります。そういうしつこさというか、いろんなところ、意外なところを掘っていくというのはテレビ東京の特徴かもしれません。

『家、ついて行ってイイですか?』や、『YOUは何しに日本へ?』といった人気番組も、普通に追っていたら、ああはならないでしょう。ものすごく追って、ものすごくしつこく編集すると、何か笑えたり泣けたりする部分が見えてくる。今に始まった話ではなく、僕が入社するずっと前からしつこいタイプのディレクターさんがいっぱいいて、「意地でも作る」ということはあったと思います。1個の現象をものすごい面白がる性質で、変わってるんでしょうね(笑)。

僕は”テレ東”という言葉が愛称のような気がして、半分馬鹿にされているようなところが気持ちいいんですよ。僕が”テレ東”と言う時は、ちょっと馬鹿にする時です(笑)。1回、社長が挨拶で「テレ東は」と言ったんです。そのあとに食事する機会があって「社長、テレビ東京のことを、”テレ東”って言わない方がいいと思います」と言いました。

社長に「僕は、”テレ東”と言う時は、ちょっと馬鹿にしてます。だから、『テレ東は』って言われたら馬鹿にされたようになってしまうので、『テレビ東京は』と言った方がいいと思います」と言ったら、頑張って直してくれているみたいです(笑)。

池を抜くならテレビ東京

――今回の番組で苦労したのはどのようなところでしょうか?

初めてやることだったので、池の水を抜くところから、抜いた後にさらった泥はどうするのというところまで、もう番組制作というより工事に近かったですね(笑)。MCの田村淳さん(ロンドンブーツ1号2号)、田中直樹さん(ココリコ)の2人が、「水を抜く」という企画に興味を持ってくれたんだと思います。

タレントさんも含めて、全員が探りながらやっていました。撮影を進めていると、結構現場現場で、思いを持った人がいるんですよ。「ここを守りたい」とか「きれいにしたい」とか。地元の人もいっぱい集まってくれて、おじいちゃんおばあちゃんたちの話長くて(笑)。「ここで実は洗濯してたんだから」って昔話をしてくれたり、子供たちも集まって、淳さんに「がんばれー!」「ちゃんとやれー!」とか声をかけていて。みんなで一緒に番組を作った空気はありました。

――「こういうのが出てきてほしい」と期待するものはあったんですか?

主!! 謎のものが出てきてほしいな、と思っていました。ただ「人間、餌あげすぎ」みたいなでかい鯉とか、個人的にすごく苦手で。でかいのは出てきてほしいけど、でかくなりすぎちゃうと怖いし気持ち悪いですよね。今回は、淳さんのロケで、生物に詳しい人も驚くような主を見ることができますよ。

――そういうのも抜かないとわからないですよね。

何か、水を抜かないとわからない、「こんなのいたんだ」というのは見たかったかもしれません。発掘に近いですね。水が抜けた時に、本来見えないものが出てくる。何もなくなって底が見えた時に、恐怖があるじゃないですか。池の水を抜くバラエティって前代未聞なので、『イッテQ』はいったん休んで、面白がってもらいたいですね(笑)。

――今後もいろんな池の水を抜きたいというような気持ちは。

やりたいですね。次は日比谷公園を狙っているんです。みんながよく見ているものをやってみたいです。淳さんはお城が好きだから、お城の堀はぜひどこかやってみたいです。実は、日本は池大国なんです! 米を中心に作っている日本にしかないような、農業用の用水池が沢山あるらしいですよ。

池抜きのノウハウはもう、だいぶ溜まってきましたし、成果を生かすためには、皆さんに番組を見てもらわなければいけないんです。僕たちに、ぜひ池を抜かせてください(笑)。ぜひ、水を抜くならテレビ東京で!