現在放送中で、18日にはいよいよ最終回を迎えるTBS系ドラマ『IQ246~華麗なる事件簿~』。織田裕二さん演じる主人公・法門寺沙羅駆は、代々学問を追究してきた法門寺家の第89代当主だ。法門寺家が有する広大な屋敷は、俗世間から秘匿された貴族の末裔の邸宅とあって、さすがに豪華で荘厳な雰囲気。今回は、前回の『逃げ恥』に続き、法門寺家の"床"に美術協力した建材メーカー・ノダにそのこだわりを聞いてみた。
あえて"粗さ"を出した床
前回同様、ノダの宣伝企画担当・河村信孝さんにお話をうかがった。
――よろしくお願いします。早速ですが、『IQ246~華麗なる事件簿~』の法門寺家に使われた"床材"について教えてください
はい。「アートクチュール アップル柄 モカ色」が、法門寺家の広間と、碁盤がある書庫の床材として使われています。
――法門寺家の床はほとんど「アートクチュール」という床材なのですね。「アートクチュール」の特徴について教えてください
「アートクチュール」シリーズは、"ラスティック(=粗い、丸太作りの、などの意味)"な雰囲気の建材です。木目をはっきりと出して、木の表情をより浮き上がらせるような外見が特徴ですね。昭和初期から中期の洋館で見られたような木目や色合いをイメージしています。朽ちかけた、古い感じの味わいが出ます。
――なるほど。確かに法門寺家の雰囲気にはぴったりかもしれません。ドラマを実際に見てみて、どう感じましたか
本当にぴったりの床だったと思います。少し朽ちた風合いが生かされていましたね。周りの小物がまたすごくて、屋敷は見事な雰囲気でした。
――"ラスティック"な建材は今の流行なのでしょうか
そうですね。建材業界では3、4年くらい前から出てきたテイストです。最近は、新しいショッピングモールの中にも2、3軒は"ラスティック"なインテリア雑貨などを扱うお店が入っています。"流行"と言うと大げさですが、少しずつ注目を浴びてきていますね。
木目は化粧シートだった!
――木材の選定にこだわりなどはありますか?
う~ん。これ、実は本物の木ではないんです。合板やMDF(木材を繊維状にほぐしてボード状に成型したもの)の表面に木目柄の化粧シートを貼っています。
――シートなんですか!? ドラマでは木にしか見えないですよね
実際、基材に貼ってしまうと本物の木にしか見えないですね。私も少し離れて見ると、ムク材と区別がつかなくなります(笑)。
――化粧シートにすることで、どういった利点があるのでしょうか
コストが落とせるのはもちろんなのですが、木の弱点を克服できるんですよね。形の悪い木目や、"割れ"やなどが生じないので、お手入れも簡単なんです。
ただ、この商品に限って言えば、そうした粗い部分をあえて見せたデザインになっています。割れや粗い木目があるから、質感がリアルになって本物の木のように見えますよね。でも触るとツルツルなんですよ。
"貴族の床"は男前インテリアにも!
――今回は法門寺家の屋敷に使われていますが、一般家庭で使うならどのようなコーディネートが合うでしょうか
そうですね……。白っぽい色の種類を選べばガーリーな雰囲気にも合いますし、ヨーロッパ風のちょっと古い風合いと相性がいいですね。
今回法門寺家の床材として提供した「アップル柄 モカ色」は、いわゆる"男前インテリア"と相性がいいと思います。ブルックリンテイストや、アメリカンカジュアルに使えるのではないでしょうか。とはいえ、その人次第で幅広く活用できると思います。
――"貴族の家"も活用次第ということですね。ありがとうございました
いかがだっただろうか。この記事では紹介しそこねたが、ノダの「ナチュラルフェイス チェスナット ブラック色」という床材も、法門寺家の廊下と"護衛係の部屋"に使われている。廊下は赤いじゅうたんが敷き詰められているためほとんど床が見えないが、土屋太鳳さん演じる和藤奏子が住む"護衛係の部屋"で、その床を確認可能だ。
床は美術装飾の中でも地味な存在だが、時として場面の雰囲気を左右する縁の下の力持ちでもある。床に注目してドラマを見てみると、また違った楽しみ方ができるかもしれない。
今回取材に協力していただいたノダのショールームでは、実際にドラマに使われた建材を見ることもできる。興味のある人は公式サイトでチェックしてみよう。
写真: 福田栄美子