昨年末に発売された新型「プリウス」で初採用され、まもなく登場するクロスオーバーSUV「C-HR」にも導入されるトヨタ・ニュー・グローバル・アーキテクチャー(TNGA)。新世代プラットフォームのことだと思っている人もいるようだが、実はそれ以上に深い意味がある。TNGAとは一体、何なのか。それは技術というより哲学とでも呼ぶべきものだ。
略語あふれる自動車業界、TNGAの特徴は?
自動車のメカニズム用語では、アルファベット3文字がよく使われる。クルマに詳しくない人でも、ABSやCVTなどは知っているだろう。ちなみにABSはアンチロック・ブレーキ・システム、CVTはコンティニュアスリー・バリアブル・トランスミッションの頭文字だ。どちらも長くて読みにくいし書きにくいから、省略形が一般的になったのかもしれない。
これに限らず自動車用語は長い外国語を使うものが多い。だからオートマティック・トランスミッションはATあるいはオートマ、エア・コンディショナーはACあるいはエアコンなど、略すことが多い。それがさらに長くなったので、現在は3文字用語が多くなりつつあるようだ。
ABSやCVTは世界統一用語なのでまだいいが、混乱するのはブランドによって異なる名称を用いる技術があること。たとえば横滑り防止装置は、トヨタ自動車はVSC、日産自動車はVDC、本田技研工業はVSAとまちまちだ。デュアル・クラッチ・トランスミッションや衝突被害軽減ブレーキにも同じことが言える。このあたりは早急に世界統一を目指してほしい。
では今回のテーマであるトヨタのTNGA、トヨタ・ニュー・グローバル・アーキテクチャーとは何か。4文字というのが珍しいけれど、それ以外にもうひとつ特徴がある。単なるメカニズムの略号ではないことだ。
TNGAは昨年12月に発売となった現行プリウスに初採用されたので、最近の技術だと思っている人もいるかもしれない。しかし、トヨタがこの4文字を明らかにしたのは2012年4月で、5年近くも前のことだ。