同一ジャンルに強力なライバル

ここまで今回発表されたトールワゴン4兄弟の独自性について解説してきたが、クルマに詳しい人はこの4車種が、スズキのソリオに似ていることに気付いただろう。2010年に登場したソリオは、スライドドアを備えたハイトワゴンという、軽自動車ではおなじみのパッケージングをいち早く登録車に持ち込み、安定した販売実績を挙げている。

トールワゴン4兄弟のボディサイズを見ると、全長3,700mm、全幅1,670mm、全高1,735mm(ルーミーGグレード)で、全幅はソリオより45mm広いが、長さと高さは10mmしか違わない。スライドドアを備えたトールワゴンであることも共通している。当然ながら発表会ではこの点についての質問も出た。

サイズを含めソリオと似た部分がある

これに対してダイハツは、ソリオと同じジャンルであることは認めた。そのうえでダイハツらしく、ユーザーの声を聞いて開発を進めたこともアピールした。となると気になるのは、トヨタとスズキが提携を結んだ場合だ。

軽・小型車のライバル、トヨタを交えた協力は進むか

しばらくはソリオ対トールワゴン4兄弟の販売競争が続くだろう。しかしダイハツとスズキが、同じトヨタグループに属する可能性が高まったのも事実である。提携が現実になれば、軽自動車や小型車の分野で、プラットフォームやエンジン、ボディなどの共用化が進むだろう。早ければ次のモデルチェンジで答えが出てくるかもしれない。

トヨタとダイハツは、トヨタとスズキの共同記者発表が行われた直前の10月4日、今後の新興国小型車事業の強化に向け、来年1月をめどに新興国小型車担当カンパニーの設置を共同で進めると発表している。これにインドで圧倒的なシェアを持つスズキがどう絡んでいくか。新興国戦略も見逃せない。

発表会ではこの点に関する質問も飛んだが、さすがに明言は避けていた。でも時期が時期だけに、単なるニューモデルとしてだけでなく、今後の展開も気になる新型車だった。