副業をした場合、給付金はもらえなくなりますか?

あるママからの相談です。「現在、育児休業中です。保育園に入ることができず、復職のメドが立ちません。生活もあるので、少しでも家でできる仕事をしたいです。会社は、仕事に差し支えがなければ副業を禁止していません。副業をした場合、給付金はもらえなくなりますか?」

本来、育児休業は育児に専念するためにある制度ですが、さまざまな事情を抱えながら、育休中に副業を希望するママも増えてきました。今回は、育休中の副業に焦点をあててご紹介します。

副業しても給付金がもらえる条件

副業を考える場合、まず勤務先がそれを許可しているか確認しましょう。また、たとえ勤務先が副業を認めていなくても、育休中に"勤め先で働く"という方法もあります。「休業中に?」と不思議かもしれませんが、実際にはよくある働き方です。

では育休中に、副業を含め働いて収入を得た場合、育児休業給付金はもらえなくなってしまうのでしょうか。

実は2014年10月1日以降、勤務日数に関わらず、月80時間までは働いても、給付金が受給できるようになりました。例えば、1日3時間で月20日といった柔軟な働き方が可能になったのです。

産後は就労禁止期間があり、出産手当金の受給は「労務に服さない期間」が条件となる

ちなみに産後8週間は、原則として事業主は労働者を働かせてはならないことになっています。女性からの請求があって、医師が支障なしと認めた業務であれば、産後6週間を経過してから働くことはできます。ただし、出産手当金は「労務に服さない期間」が条件なので注意しましょう。

いくらもらえるのか

給付金が受給できるのは、1歳または1歳2カ月未満の子を養育するために、育児休業を取得した場合です。1歳2カ月まで支給されるのは、両親がともに育児休業をした場合で「パパママ育休プラス制度」と言います。また、保育園に入れず、職場復帰できないなどの事情がある場合には、1歳6カ月未満までに延長されます。

それでは、いくらもらえるのでしょうか。もらえる額は、月給と期間によって異なります。この月給とは、休業前の給与を元に計算されますので、正確な額は職場に確認しましょう。

■育児休業開始から180日目(6カ月目)まで: 月給の67%
■育児休業開始から181日目以降: 月給の50%

2014年3月までは、全期間で月給の50%支給となっていましたが、2014年4月より最初の180日間分が増額されました。これは、赤ちゃんのパパたちの育休取得を促すことを目的としています。副業収入を得た場合、給付金と副業の月給の合計が育休前の月給の80%を超えると、その分だけ給付金は減額されるので注意しましょう。

給付金と副業の月給の合計が育休前の月給の80%を超えると、その分だけ給付金は減額される

育休中に給付金がある上に副業収入も得ることができれば、子育て中のママ・パパにとっては家計にプラスになりますね。詳細な育児休業給付金の受給要件や受給額は、必ず事前に確認しましょう。

子育てだけでも大仕事!! 育休中の過ごし方は視野を広く持って

育休中も含め、柔軟な働き方ができるようになってきました。女性の活用や、子どもをうみ育てやすくするための施策がどんどん取り入れられています。もちろん、育休を取得するママが全員「休業中に副業をしたい」というわけではないと思います。しかし、「休む」か「復帰して働く」かの2つの選択肢以外に、「休みつつも、マイペースで働く」という選択肢が増えることは、子育てと仕事のはざまで悩みが多いママ・パパにとって、ありがたいことではないでしょうか。

また、育休中の働き方や選択肢の多様化は、収入面だけでなく、社会とのつながりを感じることで、復職後の不安の解消にもつながる可能性があります。仕事をすることへのイメージがわき、夫婦で協力しなければならない課題も見えてきた場合、復職後の対策を早めにとることもできるでしょう。

最後に、子育て中は「子育てだけでも大仕事!」です。無理のないよう、ママやパパ、そしてかわいい子どもにとって、何がいいかは人それぞれです。子どものために、教育費のためにがんばり過ぎないように、「今」できることを楽しんだり、新しいことにチャレンジしたり、節約術を実践したりして、育休中の過ごし方を選択してくださいね。

※写真はイメージで本文とは関係ありません

著者プロフィール

マイライフエフピー代表 加藤葉子
子育て真っ最中のファイナンシャルプランナー。子どもを授かったことをきっかけに、教育費や学資保険の仕組みなどに興味を持ち、ファイナンシャルプランナーの勉強を始め、3年で子どもの教育資金を貯める。現在は、全国の女性からの教育費・老後資金・起業・離婚・投資なのお金の相談を中心に執筆・マネー講師として活動しながら、ファイナンシャルプランナーの育成にも力を入れている。自身のホームページ「女性とシングルマザーのお金の専門家」でもお金にまつわるお役立ち情報を提供している。