2008年に 『ひゃくはち』で映画監督デビューし、2012年には『宇宙兄弟』が大ヒット。テレビ、映画、舞台と幅広く活躍しながら、この『聖の青春』を映画化するために8年もの間動き続けてきた森義隆監督は、俳優2人から預かってきた質問に快く答えてくれた。

監督の回答

・松山ケンイチさんからの質問:なぜこの映画で僕を選んでくれたんですか?

森:8年前から君の名前は挙がっていました(笑)。その上、こっちが「撮れるぞ」というタイミングで自ら手を挙げてくれたことに、運命を感じたんです。企画から8年もかかっていると、もう「この作品が動く時って運命しかないな」と思うんですよね。

やっぱり実在した人物の物語を撮る時に、作り物じゃないものにしていこうと思うと、ある大きな流れの中でしか撮れないんじゃないかと思い始めて。30歳の松山くんが、29歳で死んだ男の話に手を挙げてくれたことにも、必然を感じました。

・東出昌大さんからの質問:この映画を撮っていて楽しかったですか?

森:めちゃめちゃ楽しかったし、鬼気迫ってないですよ!(笑) 僕が20年やっている中で、一番楽しかったし、一番笑顔が多かった現場です。もちろん集中はしていましたが、撮影できるまでに8年もかかってるし、気負わないことは逆にテーマにしていました。

しびれたのは最終対局ですね。2人の対局シーンを3時間長回しなんて、試したこともなかったし、俳優を信じるしかなかった。クライマックスシーンだから失敗できなかったし、僕の経験値でも2人の経験値でも、やれるかやれないかわからなかったけど、2人とも「やりたい」と言ってくれたので、一緒に飛び込めました。想像を超えた感覚があって、楽しかったです。

■聖の青春(11月19日公開)
"西の怪童"と呼ばれる新世代のプロ棋士・村山聖(松山ケンイチ)。現在七段の聖は幼少時より「ネフローゼ」という腎臓の難病を患いながら、将棋界最高峰のタイトル「名人」を目指して快進撃を続けてきた。そんな聖の前に立ちはだかったのは、将棋界に旋風を巻き起こしていた同世代の天才棋士・羽生善治(東出昌大)。どうしても羽生の側で将棋を指したいと思った聖は上京を。そんな折、聖の身体に癌が見つかった。「このまま将棋を指し続けると死ぬ」と医者は忠告。しかし聖は聞き入れず、将棋を指し続けると決意。もう少しで名人への夢に手が届くところまで来ながら、彼の命の期限は刻一刻と迫っていた…。