季節の移り変わりとともに、色彩豊かにさまざまな表情を見せてくれる日本の城。では、城に行くならいつの季節がいいだろうか? 一面のピンクに染まる春、または青空と入道雲を背景に雄大な景観に圧倒される夏もいいが、木々が色づく秋には、この季節ならではの艶(あで)やか景色が来城者を楽しませてくれる。

城は市街地よりも標高の高い丘陵などに造られており、公園としてもよく整備されているため、紅葉の鑑賞スポットになっている。紅葉まつりなどのイベントが開催され、期間限定のライトアップがされる城も多い。そこで今回、一度は訪れたい紅葉に映える名城「トップ10」をかみゆ歴史編集部がセレクト。秋の行楽シーズン、お城でする紅葉狩りは実にオツなものになるだろう。

10位 和歌山城(和歌山県) - 庭園の池を染める真っ赤なカエデ

和歌山城(和歌山県)

江戸時代、徳川御三家のひとつである紀州徳川家の居城だった由緒正しい和歌山城。その城主らが暮らした西の丸の庭園は、通称「紅葉渓庭園」と呼ばれているほど秋の風景が美しく、敷石にそって庭園内に分け入ると別世界に踏み込んだよう。写真に見える廊下橋は、水堀をはさんだ屋敷と屋敷を屋根付きの橋で結ぶ、全国的にも大変珍しい遺構だ。

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紅葉の見頃: 11月下旬~12月中旬
アクセス: JR和歌山駅からバスで「公園前」下車
住所: 和歌山県和歌山市一番丁

9位 会津若松城(福島県) - ライトアップも楽しみたい東北の名城

会津若松城(福島県)

地元では「鶴ヶ城」の名で親しまれている会津若松城。NHK大河ドラマ『八重の桜』(2013年)の舞台として記憶している人も多いだろう。毎年、紅葉時期にあわせてライトアップが行われ、照らされた木々と白く輝く天守はとても風情がある。ライトアップは日没から21時までで、2016年は11月13日まで開催されている。

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紅葉の見頃: 10月中旬~11月中旬
アクセス: JR会津若松駅からバスで「鶴ヶ城北口」下車
住所: 福島県会津若松市追手町

8位 越前大野城(福井県) - 秋づく山容が美しい「もうひとつの天空の城」

越前大野城(福井県)。写真提供: 大野市商工観光振興課

「天空の城」というと兵庫県にある竹田城が有名だが、この越前大野城も雲の上に浮かぶ幻想的な光景を鑑賞することができる。晩秋から早春にかけて、前日に雨が降った湿度の高い早朝に雲海が発生する。雲海の城が見られなくても、天守からは紅葉に染まる城下町や四囲の山々を楽しむことができるだろう。

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紅葉の見頃: 11月上旬~下旬
アクセス: JR越前大野駅からバスで「大野六間」下車
住所: 福井県大野市城町

7位 弘前城(青森県) - 一斉に色づく1,000本のカエデ

弘前城(青森県)

桜の名所として知られる弘前城だが、秋の光景もまた格別。2,600本の桜と1,000本のカエデが一斉に色づき、城内を紅色に染め上げている。11月13日までは「菊と紅葉まつり」が開催中で、絢爛豪華な菊人形や菊のトピアリーを楽しめるほか、夜間にはライトアップが行われている。現在、点検・修理のため天守が本丸内に移動されているが、いつもと違う光景もまた一興だろう。

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紅葉の見頃: 10月中旬~11月上旬
アクセス: JR弘前駅からバスで「市役所前」下車
住所: 青森県弘前市下白銀町

6位 姫路城(兵庫県) - 年間最多入城者を誇る世界遺産の秋模様

姫路城(兵庫県)

2015年3月、平成の大修理が終わり公開された時には、"白すぎ城"とも揶揄された姫路城。その話題もあってか、2015年度は年間来城者が260万人を突破。その数は、日本の城でダントツ1位だった。世界遺産の城でもあり、年間を通して多彩な姿を堪能できるが、色づく秋もオススメ。真っ赤な木々と白くまばゆい天守が、見事なコントラストをなしている。

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紅葉の見頃: 11月中旬~下旬
アクセス: JR姫路駅から徒歩約20分
住所: 兵庫県姫路市本町

続いては5位~1位を紹介。栄えある1位は、国宝天守が建つあのお城……。ちょっと想像しながら予想してみていただきたい。