学生を経済的に支援するための制度「奨学金」。利用していた人も少なくないのではないだろうか。奨学金には返済義務のない「給付型」と、将来返済しなければならない「貸与型」の2種類があるが、近年、貸与型奨学金の返済で苦しむ人が急増しているようだ。

そこで今回は、マイナビニュース会員のうち男女306名を対象に「奨学金」に関するアンケート調査を実施した。

Q.あなたは学生時代、奨学金を借りていましたか?

はい 21.2%
いいえ 78.8%

Q.あなたは学生時代、奨学金を借りていましたか?

Q.(奨学金を借りていた方にお聞きします)奨学金の返済は苦しい(苦しかった)ですか?

はい 53.8%
いいえ 46.2%

Q.(奨学金を借りていた方にお聞きします)奨学金の返済は苦しい(苦しかった)ですか?

Q.その理由を教えてください

奨学金の返済は「苦しかった」

■期間が長かった
・「月々高く、何年もかかったから」(30歳女性/その他/その他・専業主婦等)
・「長期間にわたるから」(54歳男性/食品/技能工・運輸・設備関連)
・「返済期間が長い」(38歳女性/その他/その他・専業主婦等)

■収入が低かった
・「会社に入ったころは給料が安かったから」(61歳男性/投資信託委託・投資顧問/専門職関連)
・「給料が安いときは苦しかった」(31歳女性/教育/事務・企画・経営関連)
・「毎年定額での返済なので、就職初期の手取り額からの返済は厳しかった」(41歳男性/官公庁/公共サービス関連)

■安定収入がなかった
・「バイト等の非正規で働いていたので」(46歳男性/その他/その他・専業主婦等)
・「アルバイトをしていたから」(35歳女性/半導体・電子・電気機器/メカトロ関連技術職)

■返済額が大きい
・「意外と返済額が大きいし、最初は給料も安いので大変」(56歳男性/その他電気・電子関連/IT関連技術職)
・「利息が付くから」(29歳男性/ソフトウェア・情報処理/IT関連技術職)
・「金額が大きい、学生が一気に背負う借金の額ではない」(37歳男性/放送・新聞/クリエイティブ関連)

■その他
・「もともとお金がないから奨学金に頼るのに、そりゃあ簡単に返せるわけがないです」(28歳女性/その他/その他・専業主婦等)
・「結婚前はそうではなかったが、結婚後は別にお金がかかり返済が大変だった記憶がある」(50歳男性/建設コンサルタント/建築・土木関連技術職)
・「あまり深く考えていなかったがよくよくは借金だと後になって実感したから」(43歳男性/その他/その他・専業主婦等)

奨学金の返済は「苦しくなかった」

■安定した収入があった
・「11年かかかったけど普通に仕事してたし」(55歳男性/その他/その他・専業主婦等)
・「社会人となり、少ないながら安定して収入があったので」(56歳男性/商品取引/営業関連)
・「十分な収入があった」(37歳男性/システムインテグレータ/IT関連技術職)
・「普通に就職したので、ぜいたくをしなければ普通に返していけた」(44歳男性/その他電気・電子関連/営業関連)

■返済額が少なかった
・「少額ずつの返済だったから」(41歳女性/医療・福祉・介護サービス/専門サービス関連)
・「月々の負担額が1万円以下なので、そこまで負担にはならない」(34歳女性/建設・土木/事務・企画・経営関連)
・「返済金が安かったから」(55歳男性/サービス/販売・サービス関連)
・「少ない金額だった」(29歳女性/公益・特殊・独立行政法人/事務・企画・経営関連)

■親が負担してくれた
・「結局親が出してくれたから」(28歳女性/医療・福祉・介護サービス/専門サービス関連)
・「親に支払ってもらった」47歳女性/その他金融/事務・企画・経営関連)

■一括返済できた
・「学生時代も倹約していて、卒業後まもなく一括繰り上げ返還できたから」(43歳男性/サービス/事務・企画・経営関連)
・「当時は一括返済すると返済額の10%のバックがあったため、借金もなくなり逆に20万円ほどもらえるのであれば苦しいなんて思わなかった」(36歳男性/海運・鉄道・空輸・陸運/事務・企画・経営関連)

■その他
・「就職してから給与天引きで返却していたので税金と同じ感覚だった、特別負担を感じた印象はなかった」(62歳男性/その他/その他・専業主婦等)
・「給与は奨学金の返済を最優先に使い、生活費は余った分を使っていたため」(46歳男性/コンピューター機器/IT関連技術職)

■総評

マイナビニュース会員306名のうち、「学生時代に奨学金を借りていた」21.2%(65名)に「返済は苦しかったですか?」と質問したところ、半数以上の53.8%が「はい」と回答した。

その理由として特に多かったのは「返済期間が長い」というもので、完済までに16年かかったという人も。日本学生支援機構の奨学金返済は最長20年と長期にわたるため、完済までの道のりが果てしなく遠く感じてしまうかもしれない。

「一時期定職を離れていたから」「アルバイトをしていたから」といった回答もみられた。卒業後安定した収入が得られず、返済に苦しむ人も少なくないよう。アルバイトのため返済ができず「親に助けてもらった」という人や、「毎月返せずボーナスから返済していた」という人もいたようだ。

片や、奨学金の返済にはさほど苦労しなかったという人も。理由としては「金額が低かったから」というものが多く、他にも「安定した収入があった」「親戚からの遺産で精算できた」といった回答が寄せられた。給付型の奨学金のため返済する必要がなかった人もいるようだ。

学生生活をサポートする奨学金だが、制度の内容や仕組みを理解していないと将来苦労することも。制度を利用するか否かは、メリットとデメリットを含め慎重に検討する必要がありそうだ。

調査時期: 2016年9月2日
調査対象: マイナビニュース会員
調査数: 男女306名
調査方法: インターネットログイン式アンケート

※写真と本文は関係ありません